2010 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体劣性遺伝多発性嚢胞腎遺伝子の細胞内情報伝達における役割の研究
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21591029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
貝森 淳哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70527697)
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Keywords | ARPKD / Polyductin / Enac / NEDD4-2 / Smurf1,2 / lipid raft / TGF-b / endocytosis |
Research Abstract |
ARPKDは、PKD、肝線維化、高血圧を特徴とする疾患である。近年、PKDに関連する蛋白の細胞内局在はprimary ciliumに多く認められることから、PKDの病態は、flow sensing異常であるという考え方が支配的となっている。しかしながら、flow sensing異常がどのように、細胞骨格異常や肝線維化につながるのかは未解明のままであった。平成21年度は、嚢胞における細胞骨格の変化、肝臓の線維化が、smurf1,2とlipid raftによるendocytosisの異常により、統一的に説明出来る可能性を見出した。その後、平成22年度は、PKHD1の蛋白質産物である、FPCが、smurf1,2と同じ、NEDD4 family E3 ligaseであるNEDD4-2とinteractする事を見出した。ARPKD疾患モデルPck ratの腎臓組織において集合管で、NEDD4-2の細胞内局在が、smurf2と同じように変化しており、NEDD4-2のtargetであるαEnac, βEnac, γEnacの蛋白が集合管の管腔側の細胞膜に発現増強している事を確認した。嚢胞腎組織内の内分泌的な影響で、Enac分子の発現が影響を受ける事から、in vitroでPck ratの集合管細胞、Enac分子の発現を確認したところ、全て、管腔側の細胞膜に発現が増強している事が確認できた。また、in vitroでPck ratの培養集合管細胞を用いて管腔側のNaチャネル電流を測定したところ、Pckの集合管細胞が、wild type rat集合管細胞に比べてNaチャネル電流が有意に亢進している事を確認した。これらの事から、ARPKDの主要な病態である、嚢胞形成における細胞骨格の変化、肝線維化、高血圧症が、NEDD4 NEDD4 family E3 ligaseとendocytosisの異常という概念で統一的に説明できる可能性があり、これらをまとめて現在論文投稿中である。
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