2010 Fiscal Year Annual Research Report
グリコーゲン産生酵素キナーゼ3阻害による糖尿病性腎症の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21591034
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 裕史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00363531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 公夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40114772)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / GSK-3β / BIO / TGF-β1 / バルプロ酸 / STZ / NRK-52E cells |
Research Abstract |
SDラットを用いて、STZを経静脈的に投与することにより糖尿病を発症させた。血糖値の推移から糖尿病の発症を確認した後にメタボリックケージを用いて蛋白尿を測定。これまでの研究で、DM発症ラットとコントロールラットに各々GSK-3β阻害薬である2Z, 3E-6-bromoindirubin-3-oxime (BIO)を腹腔内投与することにより糖尿病性腎症の発症への影響を検討している。DMラットにおいて1日尿量は有意に増加しており、BIO投与群とコントロール群で、血圧及び血糖値に差はみられなかったが、BIO投与群では蛋白尿が有意に低下しており、BIOによる糖尿病性腎症の発症抑制効果が確認されている。また、これまでの実験で、高濃度のブドウ糖に暴露した細胞ではTGF-β1の発現が増強していたが、この細胞にBIOを投与するとTGF-β1が低下することが確認されている。またDMラット糸球体で増強していたTGF-β1蛋白はBIO投与で有意に抑制されている。これらの結果により、BIOによる腎障害抑制効果にはTGF-β1が関与することが示唆されている。その後GSK-3β阻害効果があるバルプロ酸を用いて同様の検討を行った。実験動物には2型糖尿病モデルのKK-Ayマウスを用いて検討を行った。低容量のバルプロ酸投与では血糖値や蛋白尿に有意な変化は認められなかった。現在高容量のバルプロ酸での効果を検討中である。さらに糖尿病性腎症における利尿薬の効果も検討中である。
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