2011 Fiscal Year Annual Research Report
グリコーゲン産生酵素キナーゼ3阻害による糖尿病性腎症の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21591034
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 裕史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00363531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 公夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40114772)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / GSK-3β / BIO / TGF-β1 / バルプロ酸 / STZ / NRK-52E cells |
Research Abstract |
当初の実験ではSDラットを用いて、STZ投与により糖尿病を発症させた。糖尿病の発症後にメタボリックケージを用いて蛋白尿を測定し、糖尿病性腎症の評価とした。DM発症ラットでは、1日尿量及び蛋白尿が有意に増加した。このDM発症ラットとにGSK-3β阻害薬である2Z,3E-6-bromoindirubin-3-oxime (BIO)の腹腔内投与を行なったところ、蛋白尿の有意な低下を認めた。BIO投与群とコントロール群で、血庄及び血糖値に差はみられなかった。腎糸球体を採取し、糸球体でのGSK-3mRNA発現量をreal-time RT-PCRで測定したが、コントロール群とBIO投与群ではGSK-3αとGSK-3βmRNA発現量に差は認められなかった。同様に糸球体におけるTGF-β1mRNA発現量を測定したところ、BIO投与群での有意な低下を認めた。これによりBIO投与によるTGF-β1発現量の低下が糖尿病性腎症の抑制に働いている可能性が示唆された。 次にMRK-52E cell lineを用いて、高血糖による影響をin vivoにて検討した。高濃度のブドウ糖に暴露した細胞ではTGF-β1mRNAの発現が有意に増強した。高血糖と同時にBIOを投与することにより、TGF-β1mRNAは著明に低下した。また高血糖により細胞内GSK-3α及びGSK-3βmRNA発現量が上昇したが、いずれもBIO投与により低下した。これらの結果により、BIOによる腎障害抑制効果には高血糖により惹起されたTGF-β1の上昇抑制々関与することが示唆された。さらに2型糖尿病モデルのKK-Ayマウスを用いてGSK-3β阻害効果があるバルプロ酸を用いて同様の検討を行った。BIOと異なり、バルプロ酸においては大きな効果は得られず、薬剤特異的な効果が示唆された。
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