2010 Fiscal Year Annual Research Report
FSP1陽性ポドサイトによる糸球体保護作用に関する検討
Project/Area Number |
21591036
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岩野 正之 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20275324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 篤史 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30316062)
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Keywords | ポドサイト / FSP1 / 糸球体保護 / アポトーシス / バイオマーカー |
Research Abstract |
尿中FSP1の臨床的意義を検討するために、2009~2010年に当科で腎生検を実施した患者の中でインフォームド・コンセントを取得しえた全例(147例)の尿中FSP1値を測定した。尿検体には、治療開始前、腎生検実施日の早朝第1尿を用い、測定値はクレアチニン値で補正した。細胞性あるいは線維細胞性半月体の出現率が全糸球体の20%以上を疾患有り、ROC曲線から求めたFSP1>1.75μg/g.Crを検査陽性とした場合、尿中FSP1値は、感度91.7%、特異度89.4%、陽性適中率62.9%、陰性適中率98.2%であった。一方、ANCA(MPO or PR3)の感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率は、66.7%、97.6%、84.2%、93.8%であった。尿中FSP1値は治療後に測定感度以下に低下した。FSP1陽性細胞は半月体内に多数出現し糸球体内FSP1陽性細胞数は尿中FSP1値と高い正相関を示した(r=0.71,p<0.0001)。ANCAに比して、FSP1値は感度および陰性適中率が高く、半月体病変のスクリーニング検査として有用と考えられる。また、半月体から分泌されたFSP1が尿中に検出されることが示唆された。 また、ポドサイトにおけるFSP1の役割をin vivoで検討する目的で、遺伝子改変マウスを用いた実験を実施した。実験腎炎モデルについては、1)マウスで作製可能である、2)ポドサイトのアポトーシスが原因と考えられている、3)ポドサイト障害が糸球体硬化病変の出現に関連することから、アドリアマイシン腎症を用いた。FSP1.KOマウスおよびFSP1.TGマウスを10回以上BALB/cにバッククロス後、アドリアマイシン10mg/kgを各群マウスに静脈肉投与後8週間目の腎組織を検討した。糸球体硬化病変の出現率はFSP1.KOマウスで有意に高度であった。
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