2011 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管再生機構の解明とES細胞、iPS細胞から尿細管細胞への分化誘導の試み
Project/Area Number |
21591038
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
門川 俊明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80286484)
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Keywords | 腎臓 / 尿細管 / 再生医学 / ES細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
マウスES細胞から腎臓の尿細管上皮細胞への分化誘導方法の検討をおこなった。 Ksp-Cadherin(KSP、尿細管上皮細胞に特異的に発現しているタンパク)をマーカーとして尿細管上皮細胞への分化誘導を検討したところ、ActivinはKSPの発現を促進しており、腎臓の発生においても後腎間葉の上皮化を促進することが明らかとなった。しかし、Activinのみの誘導では、KSP陽性細胞の比率は、FACSにおいて、5%以下であり、何らかの方法で、KSP陽性細胞を純化する必要があった。我々は、KSPの細胞外ドメインを抗原として、モノクローナル抗体を作製し、Flow Cytometryによって、陽性細胞を分取することが出来た。 KSP陽性分画は約1-5%であり、KSP陰性分画とKSPの発現量をPCRで比較したところ、KSP陽性分画で有意に発現が高値であり、KSP陽性細胞が純化されている事が確認された。遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイで行ったところ、KSP陽性細胞ではKSP陰性細胞と比較して有意に腎・泌尿器系の発生に関与する遺伝子が高発現であった。 尿細管管腔構造をin vitroで再現するために、マトリックスや培地を検討し、Becton Dickinson社のMatrigelと低血清培地が、尿細管様の管状構造を形成を促進することがわかった。この管状構造は電子顕微鏡で観察した結果、内腔を形成している事がはっきりと分かり、尿細管細胞に類似した微繊毛も観察されin vitroで尿細管管腔構造が再現できている事を示した。以上より、世界で初めて、ES細胞から、高率に尿細管上皮細胞を分化誘導する方法が確立できた(特許申請済み、特許申請番号:特願2011-209792、論文投稿準備中)。本研究成果により、ヒトEs、iPS細胞への応用、疾患モデルiPS細胞作製への道が大きく広がった。
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