2011 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病モデルマウスを用いた糖尿病性腎症疾患感受性遺伝子座の同定
Project/Area Number |
21591039
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
富野 康日己 順天堂大学, 医学部, 教授 (60130077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 朋仁 順天堂大学, 医学部, 助教 (20365604)
谷本 光生 順天堂大学, 医学部, 助教 (00420836)
萩原 晋二 順天堂大学, 医学部, 助教 (70445568)
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Keywords | 糖尿病腎症 / KK-A^y/Taマウス / QTL解析 / mapping / 尿中アルブミン |
Research Abstract |
世界の糖尿病腎症患者は年々増えており、1998年より透析導入原因の第1位となっている。糖尿病および腎症発症には遺伝因子が重要であり、人種や性別で罹患疾患率に差を認めている。我々はこれまで自然発症2型糖尿病モデルマウスであるKKマウスとコントロールマウスであるBALB/cマウスを用いて、糖尿病関連疾患感受性遺伝子座をQTL解析によって明らかにしてきた。今回の研究ではKKマウスに比べ、より重度の血糖・アルブミン尿を呈するKK-Ayマウスを用いてQTL解析を行い、2型糖尿病関連疾患感受性遺伝子座を同定することを目的とする。この研究から得られる成果は、ヒト糖尿病及び糖尿病腎症の原因遺伝子解明の第一歩となり、莫大な医療費削減の基盤的研究と成り得る。(KK-Ay×BALB/c)F2 intercrossマウスを270匹作製し、8・12・16・20週齢におけるHbA1c、尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)、空腹時体重を測定した。85個のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子型を決定し、QTL解析を行った。20週齢のACRに関連した遺伝子座は染色体9番にみられ、suggestiveな連鎖が認められた。8・20週齢のHbA1cに関連した遺伝子座は染色体7番、8・12週齢の空腹時体重に関連した遺伝子座は染色体1番にみられ、ともにsignificantな連鎖を認めた。更にこの領域に対し検討を重ねた結果、糸球体過剰濾過を示すボウマン嚢/糸球体比はF2マウスにおいて染色体9番に変異を有するマウスは、有さないマウスと比較して明らかに上昇した。同様に染色体7番領域に変異を有するマウスは有さないマウスに比し認めるものは、膵ランゲルハンス島のサイズが上昇していた。これらの遺伝子座は、これまでに報告されている責任遺伝子座とは異なっていた。これにより、新たな糖尿病腎症疾患感受性遺伝子座が同定された。ACRに関与する遺伝子座とHbA1cを規定する遺伝子座は異なっていたが、両者は相補的に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)