2009 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症における責任細胞の臓器選択的移動に関わる制御機構の解明
Project/Area Number |
21591040
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
堀越 哲 Juntendo University, 医学部, 准教授 (80260884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 祐介 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70372935)
中田 純一郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (20365638)
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Keywords | IgA腎症 / 扁桃摘出術 / TLR9 |
Research Abstract |
我々はこれまでの基礎的な検討から本症モデルマウスにおいてIgA腎症と粘膜免疫が深く関与していることを確認している。Mucosa-Bone marrow axisの見地から粘膜には異常な感作を受けた責任細胞が存在し、それは粘膜で感作を受けた後、骨髄・リンパ組織間を選択的に移動し免疫記憶細胞として留まっていることが病因として推測される。この責任細胞の臓器選択的ホーミングは、ケモカインレセプターや接着分子などの発現パターンに規定されており、本症に特異的な発現パターンが存在している可能性が高く、"Mucosa-Bone marrow axis"の異常の一部を担っていることも考えられる。一方、本症の治療として扁桃摘出術が奏功していることからも粘膜の場として、扁桃が深く関わっている可能性が示唆される。責任細胞がヒト扁桃に存在している可能性を鑑みて、はじめに扁摘治療を受けたヒトIgA腎症患者の扁桃におけるTLR発現と臨床経過について検討をおこなった。49名の扁桃摘出患者から得られた扁桃についてリアルタイムPCRを用いてTLR9発現の程度を確認した。局発現群(>mean+SD)、低発現群(<mean+SD)に分類して評価をしたところ高発現群では扁桃摘出術+ステロイドパルス療法に対する治療反応性が高い傾向にあった。また本症患者では、扁摘前に比して扁摘後の血清IgA値が平均約8%減少した。平均以上に減少した群では治療による尿所見の寛解率が高く、また扁桃におけるTLR9発現が有意に高いことが判明した(p<0.05)。以上より病因に深く関わっている責任細胞としてTLR9発現し、IgA産生に関わりさらに全身を移動しうる細胞としてB細胞が想定された。今後B細胞を中心にケモカイン、ケモカインレセプターの発現をヒトサンプルの他にも動物モデルを用いてリアルタイムPCR法などにより網羅的に解析していく予定である。
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