2009 Fiscal Year Annual Research Report
異種胎仔の後腎組織を足場としたヒト腎臓再生法の開発
Project/Area Number |
21591042
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
横尾 隆 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (70301538)
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Keywords | 腎臓再生 / 異種移植 / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
現在爆発的に増加し続ける腎不全は、長期透析患者に対する著しいQOL制限のみでなく、1兆円を超える透析医療費や、透析患者の介護福祉の負担の拡大が大きな社会問題となっており、透析に代わる次世代の革新的治療法が大いに期待されている。我々はこれまで発育中の異種胎仔の腎臓発生部位にヒト骨髄由来間葉系幹細胞を注入し、体内で培養することにより腎臓系譜への分化誘導することに成功し、この幹細胞由来腎臓原基をさらにホスト大網内に移植することにより成熟させ尿生成能などの機能を獲得し再生腎臓を樹立した。この成功は3次元構築をもつ臓器そのものの再生の実現化に向けヒト臨床応用につながる可能性を持つ。しかしこのシステムは注入前の間葉系幹細胞にアデノウイルスを用いたグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)遺伝子導入が必要であったため、ヒト臨床にウイルス使用に対する安全性が危惧されていた。そこで今回、ウイルスを代替する生体適合性バイオマテリアルを用いてGDNFの除放を行い腎臓再生が可能か検討した。細胞注入には極細のマウスピペットを用いるため、粘張度を極力低下させ、生体内に注入後固形化して除放を開始する目的で、低温で液体で温度上昇とともにゲル化するバイオマテリアル(メビオールゲル)を用いた。低温にてリコンビナントGDNFを溶解し、37度でゲル化した後に48時間以上除放することをin vitroで確認した後、幹細胞とともに胎仔に注入したところ、ウイルスを用いてGDNF遺伝子を導入した幹細胞と同等の腎臓系譜への分化能を誘導できた。この結果はヒト臨床に向けた安全性の向上に重要な役割を果たすと考えられる。
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Research Products
(3 results)