2011 Fiscal Year Annual Research Report
間欠的虚血ストレスの糖尿病性腎症進行への影響と脂肪酸結合蛋白の役割
Project/Area Number |
21591043
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
木村 健二郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (00161555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 健 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 客員教授 (40381561)
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Keywords | 間欠的低酸素 / マウス / 虚血ストレス / 脂肪酸結合蛋白 / 低酸素 |
Research Abstract |
糖尿病患者では、非糖尿病に比較して睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome,SAS)を合併しやすいことが知られている。SASは、糖尿病を悪化させる事に加え、交感神経を興奮させ、夜間高血圧を惹起することにより、糖尿病性腎症を進行させる可能性がある。しかし、基礎実験によりSASが、高血圧を悪化し、腎障害を進行させることは明らかにされていない。昨年度の検討では、ラットの高食塩負荷片腎摘出モデルを用いたが、予想した結果が得られなかった。そこで、今年度は血管内皮障害を惹起するアンジオテンシンIIを投与した高血圧モデルを用いた。このモデルでは、血管内皮細胞障害が惹起され、その結果、腎臓組織の低酸素化が生じ、腎障害が進展する。このモデル動物にさらに間欠的低酸素を負荷する事で、このモデルにおける腎障害進展に、低酸素ストレスが、より一層寄与すると予想された。 方法:アンジオテンシンIIを浸透圧ポンプに入れて、L-FABP遺伝子導入マウスの皮下に埋め込み、一日12時間、10分間ごとに10%の酸素濃度になるように設定したOxycycler^<[○!R]>(8)内に4週間入れ、その後、腎摘を行った。摘出された腎臓を用いて、低酸素刺激を行わなかった群と比較して、腎障害の程度を遺伝子・蛋白解析および形態学的に評価した。 結果:血圧は、低酸素刺激を行った群で有意に高値であった。しかし、尿蛋白排泄は、低酸素刺激を行った群の方が、コントロール群に比べ、有意に低値であった。炎症性サイトカインの産生や形態学的腎障害の検討でも、低酸素刺激を行った群に比べ、コントロール群で、むしろ強い傾向であった。また、L-FABP発現も同等であり、有意差を認めなかった。 考察:今回の検討でも、低酸素刺激を行った群では、コントロール群に比べ、血圧の上昇は認められたものの、腎障害の程度は、むしろ軽減していた。基礎実験では、間欠的低酸素刺激が、高血圧性腎障害の進行に関与していることを証明できなかった。
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