2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来単核球細胞と脳内レニン-アンジオテンシン系の関わりについての検討
Project/Area Number |
21591059
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山里 正演 琉球大学, 医学研究科, 助教 (90347138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 明夫 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (10343378)
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Keywords | 高血圧 / 中枢性血圧調節 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 脳室内投与 |
Research Abstract |
「脳への骨髄由来細胞の分布不全が脳内レニン-アンジオテンシン系および酸化ストレスの抑制不全をひきおこし高血圧の病態に関与している」という仮説のもと平成23年度は以下の実験と学会での成果発表を行った. 目的:脳への骨髄由来単核球細胞の分布不全が高血圧の病態に関与しているかを調べる. 培養して増やした骨髄由来細胞を脳内へ投与し、同細胞の脳への分布増加が高血圧ラットの血圧へ影響するかを調べた。 方法:ラットの脳室内へDiI標識骨髄由来細胞の投与を行い、平均血圧「(MAP)、心拍数(HR)、体重に及ぼす影響およびDiI陽性細胞の分布を調べた。 注入した細胞の局在:DiI陽性細胞は注入8週後でも確認できた。脳室内投与では脈絡叢,脳室周囲、一部脳実質内にDiI陽性細胞を認めた。高血圧自然発症ラット(SHR)と正常血圧ウィスター京都ラット(WKY)でDiI陽性細胞の分布に明らかな違いはなかった。 体重・循環動態に及ぼす影響:8週齢の脳卒中易発症ラットへ培養液(n=6)または自家骨髄由来細胞(n=7)の脳室内投与を行った。体重増加に差はなかった。5週後のMAPはそれぞれ201±5、208±8 mmHg、HRは317±9、335±14 bpmであった。また、14週齢のSHRへ培養液脳室内投与(n=6)またはWKY骨髄由来細胞の脳室内投与(n=9)を行った。9週後のMAPはそれぞれ186±4、183±3 mmHg、HRは315±8、323±9 bpmであった。WKYへのSHR骨髄由来細胞の脳室内投与も循環動態へ影響しなかったが、体重増加を鈍らせた。 結論および考察:骨髄由来細胞の脳室内投与は血圧や心拍数へ明らかな影響を及ぼさず高血圧の病態への関与は明らかでなかった。しかしながら同細胞は内皮細胞に比べACE2やMn-SODを多く発現しており、また、長期にわたりDiI陽性細胞を脳内で確認できたことより、今後、特殊条件下や生着局所での役割の検討も必要と考えられた。
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Research Products
(2 results)