2011 Fiscal Year Annual Research Report
水素および一酸化窒素による血液透析膜表面の生体適合性の改善
Project/Area Number |
21591060
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小久保 謙一 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (20287965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 弘祐 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70153632)
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Keywords | 血液透析膜 / 生体適合性 / 一酸化窒素ガス / 血小板活性化 |
Research Abstract |
血液透析療法は、腎不全に陥った患者の生命を維持するために不可欠の治療である。しかし、血液透析治療それ自体が患者にさまざまな侵襲を与えている。本研究では、血液透析膜の透析液側に水素ガスや一酸化窒素(NO)ガスを流し、透析膜表面をそれらの溶存ガス放出表面とすることで、透析膜表面の生体適合性を改善することを目的とした。 22年度までに、ブタ血液を用いたex vivo実験により、NO放出表面における血小板の活性化抑制効果の機序を検討した。ニトロプルシドナトリウムをNO供与体として透析液に加えた実験を行い、NO放出膜表面と接触した血小板では、血小板内のcGMP濃度が有意に増加しており、NOによる血小板活性化抑制がグアニル酸シクラーゼを介したcGMPの産生によるものであり、透析液側から加えたNOが有効であることを明らかにした。 しかし、NO供与体は半減期が長く、血液と透析膜が接触した血液に対してだけでなく、全身に作用してしまう可能性があり、透析膜と接触している間のみに作用するNOガスを用いる必要があった。そこで、23年度には、ガス交換機を用いて、NOガスを透析液に付加するシステムを構築した。このシステムを用いると、NOの副作用であるメトヘモグロビンを生成することもなく、透析液にガス交換膜を介してNOが十分に付加できた。さらに、血小板活性化を調べたところ、透析膜から付加したNOガスの効果により、透析膜との接触による初期の血小板活性化を抑制できることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)