2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591061
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
緒方 浩顕 Showa University, 医学部, 講師 (30296959)
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Keywords | 心筋症 / 慢性腎臓病 / 自己免疫 |
Research Abstract |
(1) 初年度である21年度は特発性拡張型心筋症(DCM)に高率に検出される抗心筋抗体の1つである抗β1 adrenergic receptor抗体(β1AR Ab)のELISA測定系を用いて、長期血液透析(HD)患者305名(62.6歳、女性37.7%、HD歴121ヶ月)を対象に測定、その抗体価と患者背景、心機能との関連を検討した。β1AR Abは20%のHD患者で陽性であったが(健常人の陽性率は約5%)、患者背景にはβ1AR Abの有無で明らかな差違は認めなかった。心臓超音波検査で測定した左心室駆出率50%未満を低左心機能と定義すると、β1AR Ab抗体価と低左心室機能患者は有意な関連がみられ、尿毒症性心筋症においてもDCM同様、自己免疫的機序の存在が示唆された。 (2) 次にHD患者血清の心筋抑制性について有精鶏卵を用いたbioassayにて検討した。心筋抑制性は28%もの高率で確認され、心筋抑制性有りの患者では低左心機能患者が高率に認められ(odds比6.222, P=0.009)、尿毒症患者血清中には何らかの液性心筋抑制因子が存在することが裏付けられた。 (3) 心筋抑制性とβ1AR Ab、抗musucarinic receptor抗体は有意な相関がみられ(β1AR Ab, P=0.0001;抗musucarinic receptor抗体,P<0.0001)、心筋抑制性を惹起する液性因子にβ1AR Abをはじめとする抗心筋抗体が関与していることが推測された。尿毒症性心筋症の病態生理に自己免疫的機序が関与する可能性が裏付けられたと考える。
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Research Products
(1 results)