2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591061
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
緒方 浩顕 昭和大学, 医学部, 講師 (30296959)
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Keywords | 尿毒症 / 自己免疫疾患 / 尿毒症性心筋症 / 抗心筋抗体 |
Research Abstract |
前年度の研究から、尿毒症性心筋症(UC)の病態に関連する自己心筋抗体の候補として、 1. 抗β2アドレナリン受容体抗体(β1AR Ab) 2. 抗ムスカリン受容体抗体(MR Ab) を同定するに至った。昨年度までの研究で、これらの自己抗体系を測定するELIZA系が確立できたため、血液透析患者を対象にこれらの自己抗体と心機能を含む、臨床データとの関連を検討した。その結果、β1AR Ab、MR Abの陽性者に低左心機能が高頻度に認められることを明らかにした。 本年度は、有精鶏卵を用いたbioassay系でβ1AR Ab及びMR Abの心筋抑制性を検証した。有精鶏卵の心機能を抑制する患者血清では、これらの自己抗体が極めて高率に検出されることが判明した。また、このbioassayで心筋抑制性が陽性であった患者(318名中89名)では、陰性の患者に比して、心臓超音波検査による左室駆出率<50%である頻度が有意に高率であった(Odd 6.222, P=0.0009) これらに結果を基に、内科的治療抵抗性の低左心機能症例でβ1AR Abが強陽性かつbioassayで高度の心筋抑制性が患者にみられた血液透析患者2名に対する自己抗体除去療法、二重膜血漿交換(DFPP)療法の施行について当学倫理委員会に申請し、承認が得られた。2名の患者ともDFPP施行後はβ1AR抗体価の著減が観察され、1例においては施行直後から心機能の改善、血圧上昇、透析困難症の軽減が観察されている。 本年度の研究から、血液透析患者では血清中に高頻度に心筋抑制性物質が存在することが推察され、それが自己心筋抗体を関連していることが示唆された。更に心筋抑制性が陽性である重症心不全症例では血漿交換療法により、左心機能が改善する可能性が示された。
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