2009 Fiscal Year Annual Research Report
患者由来誘導多能性幹細胞を用いた家族性筋萎縮性側索硬化症治療法の開発
Project/Area Number |
21591079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 治久 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点准教授 (70332327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良輔 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (90216771)
高橋 和利 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 講師 (80432326)
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Keywords | 神経内科学 / 神経科学 / 幹細胞 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位及び下位運動ニューロンが選択的に変性していく神経変性疾患である。ALSの約90%は孤発性、約10%は家族性である。1993年に、家族性ALSの一部はCu/Zn superoxide dismutase (SOD1)の変異によることが発見された。その後、変異SOD1トランスジェニックマウスモデルの解析により、変異SOD1が神経細胞に対して毒性を発揮するだけでなく(自律性神経細胞毒性)、アストロサイトなどの非ニューロン細胞内の変異SOD1タンパク質発現が、ニューロンの変性を促進するという、非自律性神経細胞毒性機序による運動ニューロン変性の可能性が考えられている。 本研究では、SOD1)変異を有する家族性ALS患者由来induced pluripotent stem cell (iPS細胞)を用いて、変異SOD1転写を抑制することによるFALS治療薬を開発することを目的としている。 京都大学医学部附属病院神経内科通院中の変異SOD1を有するALS患者数名、あるいはSOD1変異を有さない他疾患患者から皮膚線維芽細胞を樹立し、その後、それらの細胞から、iPS細胞を樹立した。変異SOD1転写を抑制する低分子化合物(ヒット化合物)もしくは既存薬を1次スクリーニングにより同定した。さらに、確立された方法(Li et al. Nat Biotech 23:215-221, 2005; Okada et al. Stem Cells Equb 2008)を用いて、SOD1変異を有する家族性ALS患者由来iPS細胞を運動ニューロンやアストロサイトヘ分化誘導し、1次スクリーニングにより同定した既存薬の効果を検証し、SOD1発現量を低下させるが細胞死は生じない既存薬を同定した。今後、さらなるALS細胞モデル系の確立やその系での同定した既存薬の効果の確認を目指す。
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