2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血急性期におけるグルタミン酸受容体サブタイプによる細胞応答の差異
Project/Area Number |
21591081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 勉 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20534879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 一夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301257)
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Keywords | NDMA受容 / サブタイプ / CREB / 虚血耐性 |
Research Abstract |
Ca-グルタミン酸仮説のもと、動物実験でNMDA型グルタミン酸受容体が有力視され、治験がなされたが、臨床的には有効な結果は得られなかった。その原因として、近年、グルタミン酸受容体のサブタイプの違い、特にNR2subunitの違いがその後の細胞生/死の決定に深く関与することが示唆されている。本研究にてまずIn vitroにおいて虚血耐性現象を検討する系(45分非致死的刺激(OGD)→24時間後に3時間の致死的刺激(OGD))を確立し、NR2A, NR2Bの関与を検討した。NVP-AAM077によるNR2A選択的阻害は虚血耐性を消失させ、Bicuculline+4-aminopridineによるNR2A活性化は虚血耐性を誘導した。又、NR2Aの下流シグナルとして、CREB活性をCRE-lucreporterを用いたluciferase assayを施行し検討したところ、CREBが虚血耐性誘導に必要かつ十分であり、その神経保護効果もCREB依存的なBDNF発現誘導であることも示した。また、非致死的(OGD)刺激は、致死的なH_2O_2などの酸化ストレス、致死的なグルタミン酸刺激(クロストレランス)を誘導し得ることも明らかとした。この様に虚血耐性誘導にNR2A-CREB-BDNFシグナルが重要な役割を果たしていることが証明されたため、下記論文に報告した。一方3時間の致死的虚血にてNR2B選択的阻害薬(Ro256981)投与は、強い神経細胞保護効果を示し、現在in vitroでの分子メカニズムの解明と、in vivoにおいてより人の脳梗塞に近いラット永久閉塞モデルを用いて、検討している。この様に、非致死的虚血、致死的虚血両者に多様なグルタミン酸受容体のサブタイプの違いが重要であることが示唆され、治療を考えた上で極めて重要であり、今後更なる検討を進めていく。
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