2011 Fiscal Year Annual Research Report
ディスフェルリン欠損症の治療を目的とした骨格筋細胞膜修復機構の解明
Project/Area Number |
21591105
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松田 知栄 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (50344099)
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Keywords | 筋疾患 / 筋ジストロフィー / 細胞膜修復 / ディスフェルリン / 骨格筋 / アフィキシン(β-パルビン) |
Research Abstract |
ディスフェルリン結合タンパク質のひとつであるMG53(ミツグミン53)の骨格筋細胞膜修復への関与を調べるために、野生型マウス足底筋にmCherry-MG53をエレクトロポレーション法で発現させた。7日後に足底筋を単離し、導入した遺伝子が発現している筋線維の細胞膜に2光子レーザーで損傷を与え、修復過程を観察した。骨格筋細胞膜修復において中心的な役割を担うディスフェルリンは損傷後1秒以内に膜損傷部に凝集するが、MG53はディスフェルリンよりもゆっくりと損傷部に凝集し、損傷の5分後も凝集は続いていた。ディスフェルリンを欠損し、筋ジストロフィー症状を示すSJLマウスにmCherr-MG53を導入し、同様の膜損傷実験を行ったところ、MG53は野生型マウスと同様に、細胞膜損傷部へのゆっくりとした持続型の凝集が観察された。MG53が細胞膜損傷部に凝集するにもかかわらず、SJLマウスは筋ジストロフィー症状を呈することから、骨格筋の細胞膜修復にはMG53だけでなくディスフェルリンも必要であることが予想される。さらにディスフェルリン結合タンパク質として我々が報告したアフィキシン(β-パルビン)の骨格筋細胞膜修復への関与を調べるために、野生型マウス足底筋にmCherry-アフィキシンをエレクトロポレーション法で発現させた。筋線維を単離し2光子レーザーで細胞膜損傷実験を行ったところ、アフィキシンも損傷部に凝集することを見出した。さらにSJLマウスにmCherry-アフィキシンを発現させ、同様の膜損傷実験を行ったところ、アフィキシンは損傷部から欠落することを見出した。mCherry-アフィキシンを骨格筋特異的に発現させたトランスジェニックマウスを作製し、足底筋より単離した筋線維を用いて細胞膜損傷実験を行ったところ、エレクトロポレーション法で遺伝子導入を行った筋線維と同様に、損傷部への凝集が確認された。これらの結果はアフィキシンの骨格筋の細胞膜修復への関与を示唆し、ディスフェルリン欠損による筋ジストロフィー(ディスフェルリノパチー)の分子病態の解明に役立つと考えられる。
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Research Products
(2 results)