2009 Fiscal Year Annual Research Report
セレクチンを標的とするリポソームを用いた脳虚血での血管内皮細胞活性化機構の解析
Project/Area Number |
21591106
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
脇田 英明 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 血管性認知症研究部, 室長 (80416172)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 発現制御 |
Research Abstract |
細胞接着分子E-selectinに対するリガンド糖鎖のSialyl Lewis Xを表面に結合させたリポソームは脳虚血部位の活性化血管内皮細胞がE-selectinを産生することより、脳虚血部位の活性化血管内皮細胞に選択的に集積する。このSialyl Lewis X結合リポソーム内に炎症を制御する薬物、蛋白質、ペプチド、抗体、核酸を内包し、活性化血管内皮細胞に発現する細胞接着分子や炎症関連因子について生体内で阻止、制御することで、脳虚血における血管内皮細胞活性化機構の生体内での役割を解明することを目的として研究を行った。脳虚血の実験モデル動物として、ラットの中大脳動脈閉塞による局所脳虚血・再灌流モデルを用いた。再灌流後に炎症関連分子を生体内で制御する薬物を内包したSialyl Lewis X結合リポソームを大腿静脈より投与した。投与時期を変えた数群について、24時間後に安楽殺後、脳を取り出し、免疫組織化学を用いて脳内の細胞接着分子、炎症関連分子の制御の程度について時間的・空間的解析を行なった。薬物を内包したSialyl Lewis X結合リポソームによる脳組織内での細胞接着分子、炎症関連分子の制御は再灌流直後から6時間後まで可能であることが示唆された。研究成果により、生体内における血管内皮細胞活性化の分子機構が解明されるばかりではなく、脳虚血治療の新規標的分子の発見やそれを制御するSialyl Lewis X結合リポソームを用いた遺伝子治療の開発につながると考えられる。
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