2011 Fiscal Year Annual Research Report
セレクチンを標的とするリポソームを用いた脳虚血での血管内皮細胞活性化機構の解析
Project/Area Number |
21591106
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
脇田 英明 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80416172)
|
Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 発現制御 |
Research Abstract |
細胞接着分子E-selectinに対するリガンド糖鎖のSialyl Lewis Xを表面に結合させたリポソームは脳虚血での活性化血管内皮細胞がE-selectinを産生するため、活性化血管内皮細胞に選択的に集積する。このリポソーム内に炎症を制御する薬物を内包し、活性化血管内皮細胞に発現する細胞接着分子や炎症関連因子を制御し、脳虚血における血管内皮細胞活性化機構の解明を目的として研究を行った。ラットの中大脳動脈閉塞による局所脳虚血・再灌流モデルを用いた。昨年度までに得られた至適条件で、炎症関連分子を生体内で制御する薬物を内包したSialyl Lewis X結合リポソームまたは薬物を内包していないSialyl Lewis X結合リポソームを大腿静脈より投与した。また、Sialyl Lewis X非結合リポソームについても同様の実験を行い比較した。24時間後に安楽殺後、脳内の細胞接着分子、炎症関連分子の制御について解析を行なった。Sialyl Lewis X非結合リポソームと比較して、薬物を内包したSialyl Lewis X結合リポソームと薬物を内包していないSialyl Lewis X結合リボソームは、ともに細胞接着分子E-selectinの阻止効果を認め、血管内皮細胞での細胞接着分子発現を起点とした炎症反応が抑制された。薬物内包の有無では、虚血性細胞死、炎症制御に関する量的、質的な差は認めず、両者ともに細胞接着分子の発現制御が虚血性細胞死抑制の主要なメカニズムであると考えられた。Sialyl Lewis X結合リポソーム自体が、炎症反応制御、脳虚血細胞死の強い抑制効果を持ち、Sialyl Lewis X結合リポソームによる細胞接着分子阻止効果を用いた脳虚血治療法は有望であると考えられた。今後は炎症反応以外のメカニズムに有効な薬物の内包の検討が必要であると考えられた。
|
-
-
[Journal Article] Watershed infarcts in a multiple microembolic model of monkey2011
Author(s)
Maki T, Wakita H, Mase M, Itagaki I, Saito N, Ono F, Adachi K, Ito H, Takahashi R, Ihara M, Tomimoto H
-
Journal Title
Neuroscience Letters
Volume: 499(2)
Pages: 80-83
DOI
Peer Reviewed
-