2009 Fiscal Year Annual Research Report
局所皮質異形成ラットのてんかん原性獲得には皮質ネットワーク異常が関与する
Project/Area Number |
21591114
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重藤 寛史 Kyushu University, 大学病院, 講師 (50335965)
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Keywords | てんかん / 皮質異形成 / ネットワーク / 脳波 / 臨床神経生理学 / フェーズロッキング解析 |
Research Abstract |
[目的]我々が開発した胎児期作成皮質異形成ラットではキンドリング刺激において海馬がてんかん原性を獲得するのに要する時間が対照に比べて優位に短く,グルタミン受容体の発現が異形成皮質において増加していた.これは皮質異形成の存在により皮質-海馬のネットワーク構築が変化し,てんかん活動をより起こしやすい状態になっているためと推測した.これを証明するために,1.異形成を増加させたラットを作成し,てんかん閾値の上昇の有無を確認する.2.皮質異形成と海馬間のネットワークの形成を確認する.[方法]1.胎生18日目,母ラットから子宮を有茎のまま取り出し,子宮壁外から胎児頭蓋に冷却プローベで障害を加えて再び母ラット後腹膜腔にもどし局所皮質異形性モデルを作製.この時以前に報告した左前頭葉部位への皮質異形性より広範囲の異形成を作成するために,両側前頭部に冷却プローベを接触させて両半球に皮質異形成を作成.出生4週間目に記録用電極を両前頭部皮質・海馬に埋め込んだ.電極埋め込み2週間後より脳波の測定を開始した.脳波測定終了後にラット脳を摘出して病理的評価を行った.対象9匹.2.発作間欠期(発作終了1分後~発作開始1分前),発作前(発作開始1分前~発作開始),発作中,発作後(発作終了~発作終了1分後)の4時期にわけて,それぞれの時期からアーチファクトの無い10秒間の記録を3~6個切り出してPhase locking解析.電極間の同期を記録毎,周波数(2~45Hz)毎に評価した.[結果]1.9匹中2匹において自発性のてんかん性放電がみられた.摘出脳にHE染色を行い両側前頭葉の異形成を確認した.2.自発発作中,特に同側皮質-海馬間で同期の上昇を認めた.[結論]両側に皮質異形成を作製したラットモデルにおいて,キンドリング刺激を与えなくとも自発性にてんかん原性が獲得された.ネットワーク解析においては,皮質異形成と同側海馬の同期が上昇していることが証明された.
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Research Products
(25 results)