2011 Fiscal Year Annual Research Report
局所皮質異形成ラットのてんかん原性獲得には皮質ネットワーク異常が関与する
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21591114
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重藤 寛史 九州大学, 大学病院, 講師 (50335965)
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Keywords | てんかん / 皮質異形成 / ネットワーク / グルタミン酸受容体 / 脳波 / 臨床神経生理学 |
Research Abstract |
[背景・目的]我々が開発した胎児期作成皮質異形成ラットで両側半球に異形成を作製した場合に,異形成の存在する皮質では無く海馬からはじまる自発てんかんを生じた.この時,海馬の形態に異常はなかったがグルタミン酸受容体NMDAR1,R2A,R2Bに増加がみられたことから,皮質-海馬のグルタミン酸を介するネットワークが海馬てんかん原性獲得に関与していると推定された.この推定を補強するために,硬膜下電極記録よりも感度が高く,容積伝導の影響を受けにくい皮質内電極記録を異形成部に対して行い,また同部におけるグルタミン受容体の変化も検討した. [方法]胎生18日目,胎児頭蓋両側半球に冷却損傷を加えて再び母ラット後腹膜腔にもどし両側半球に局所皮質異形性モデルを作製.出生4週間目に記録用深部電極を両前皮質異形成部・海馬に設置し生後35日~77日の間,脳波計測とビデオによる症状観察を行った(9匹).また生後35日と77日に脳を取り出し病理的評価および免疫染色によるグルタミン酸受容体発現の定量を行い対照ラットと比較した(異形成ラット各9匹,対照ラット各5匹). [結果]皮質異形成ラット9匹中6匹で海馬から出現する自発てんかん放電を認めた.この6匹中3匹で皮質異形成内記録に発作間欠期てんかん性放電を認めた.海馬の自発発作はなかったが皮質異形成から自発発作を生じたラットが1匹存在し,このラットでは発作間欠期にもてんかん性放電を認めた.皮質異形成部では生後28日目・78日目ともNR1,2A,2Bの染色強度が有意に上昇していた.海馬では生後28日目よりも78日目で,よりNR1,NR2Bの染色強度が上昇していた. [結論]大脳皮質異形成を有するラットで海馬から始まる自発性てんかん放電に加え,異形成部に発作間欠期てんかん性放電および自発てんかん発作性放電を認めた.また皮質異形成部でもグルタミン受容体の変化が見られた.これらは側頭葉外の皮質異形成の存在がグルタミン酸受容体を介するネットワークの構築変化により海馬に自発てんかんを誘発したことを示唆した.
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Research Products
(13 results)