2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗コリンエステラーゼ剤の重症筋無力症治療の妥当性と運動終板構成蛋白
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21591115
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉村 俊朗 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80182822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 政勝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (70244093)
中野 治郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20380834)
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Keywords | 重症筋無力症 / 坑コリンエステラーゼ剤 / 治療 / 抗MuSK抗体 / 抗AChR抗体 / 抗LRP抗体 |
Research Abstract |
神経筋接合部の疾患として、重症筋無力症が代表的な疾患であり、骨格筋の易疲労性を特徴とし、血清中に抗アセチルコリン受容体抗体(以下抗AChR抗体)が存在し、補体を介して、神経筋接合部でアセチルコリン受容体を破壊することにより臨床症状を呈する。治療は血漿交換療法、免疫抑制剤、胸腺剔出が主流であるが、症状軽快の目的で抗アセチルコリンエステラーゼ剤の使用もなされている。一方、抗アセチルコリンエステラーゼ剤の投与で運動終板に形態変化が生じることも報告されている。神経筋接合部の形成に必須とされる蛋白はagrin, MuSK, Dok-7, rapsin, LRP4などが知られていて、重症筋無力症の原因抗体の一つである抗MuSK抗体は、運動終板の維持、形成を阻害する。従って特にMuSK抗体陽性重症筋無力症に抗アセチルコリンエステラーゼを使用した場合、運動終板の形態に変化を及ぼし、病態を悪化させることが推定される。 抗MuSK抗体陽性重症筋無力症患者に抗コリンエステラーゼを投与する際、運動終板の形態変化がより生じやすいかを、ラットを対象に検討した。その結果は、抗MuSK自己抗体陽性MGにおいても、通常使用量の抗コリンエステラーゼは、使用可能であろう。 また、重症筋無力症の自己抗体としてLRP4抗体が注目されている。そこで、LRP4抗体陽性患者、筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)自己抗体を有する患者、抗アセチルコリン受容体抗体(抗AChR抗体)のみを有する患者の運動終板との差を明らかにした。その結果、抗LRP4抗体と抗MuSK自己抗体は、運動終板に同様の変化を生じうる。
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