2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス局所脳虚血モデルへの神経堤由来細胞移植の効果の検討
Project/Area Number |
21591119
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
冨田 裕 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60276251)
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Keywords | 神経堤細胞 / 脳梗塞 / Confocal顕微鏡 / Matlab Software |
Research Abstract |
課題研究の実験系の有用性を多角的に検証するため、DC電位、脳波、脳表酸素分圧(PO_2)および脳血流を同時に測定し、毛細血管内を流れる赤血球速度との相互関係について検討した。また、脳皮質拡延性抑制現象(CSD)を誘発した際の赤血球速度を解析し、グリア細胞や神経活動との関連について検討した。 麻酔下SDラットの左側頭頭頂部に頭窓を作成し、尾側および鼻側端に脳波測定用電極を固定し、DC電位および脳波を測定した。FITC標識赤血球を静脈内投与し、頭窓中央部にて高速度カメラ(500fps)共焦点レーザー顕微鏡を用いて動画撮影し、Matlab応用自家製ソフトウエアKEIO-IS2にて単一毛細血管内を流れる赤血球速度を自動計算した。さらに蛍光顕微鏡を通したビデオ撮影を行い、同一部位を観察した。頭窓の後方の小頭窓に0.3~1M KCl溶液を滴下しCSDを誘発した。ビデオ映像の静止画像の明度の差(Background darkness)を神経活動の指標とした。次に、2本の脳波電極中間部にてPO_2および局所脳血流(LDF)を測定した。同時に動脈血圧を測定、記録した。次に、脳表にSulforhodamine101を滴下し特異的にグリア細胞を生体染色した。 その結果、KClの微量投与により、DC電位の一過性の陰性波が発生し、平均3mm/分で前方へと伝播した。脳波は一過性に亢進後、抑制された。CSDが通過時にPO_2は一過性に低下後、通過前のレベルより増加した。脳血流はCSDが到達後に上昇し始め、通過直後に最大となった。CSDの通過時、さらに通過後も毛細血管内赤血球速度は低速度成分が増加した。同一毛細血管にて赤血球速度はheterogeneousな様相を呈した。 さらに、神経活動(明度)の低下とともに赤血球速度が低下し、相関関係が存在すること、毛細血管径の変化なく赤血球速度が変化することを明らかにした。その際、グリア細胞および終足が形態学的に変化し、毛細血管内の赤血球速度の調節に関与していることが示唆された。本実験系の有用性が証明され、神経活動と微小循環は密接な関係があり、neuro-capillary couplingの存在が示唆された。
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