2009 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化における小胞体ストレス応答・酸化ストレス応答の役割
Project/Area Number |
21591122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石垣 泰 Tohoku University, 病院, 講師 (50375002)
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Keywords | 動脈硬化 / 小胞体ストレス / 炎症 |
Research Abstract |
我々は、CHOP欠損マウスを中心とした解析から、動脈硬化の発症・進展における小胞体ストレスと酸化ストレスの役割や相互作用を明らかにし、生体内のストレス応答を調節することによる動脈硬化に対する新規予防・治療法の可能性を探ることを目的に研究を進めてきた。 CHOP(C/EBP homologous protein)はERストレスによって誘導され、細胞をアポトーシスへと導く。我々はMφのアポトーシスに関わっているCHOPに着目し、ERストレスが動脈硬化の発症・進展にいかなる役割を果たしているのかを検討するために、CHOP欠損マウス(KO)を用いていくつかの解析を行った。 8週齢のC57BL/6JマウスとCHOP KOの後下肢動脈にカフ傷害を施した後、3週間後に動脈内膜肥厚を検討したところ、野生型とCHOP KOの間に空腹時血糖や血清コレステロール値に差を認めなかったものの、CHOP KOは野生型マウスに比ベカフ傷害後の内膜肥厚が41%抑制されていた。 CHOP KOとapoE KOを掛け合わせたダブルKOを作成し、高コレステロール食を56週齢まで負荷した後、大動脈内腔をオイルレッドで染色しその面積を定量したところ、apoE単独KOに比べ、CHOP・apoE KOの動脈硬化面積は46%抑制されることを見出した。 CHOP欠損によって、カフ傷害によって惹起された炎症による動脈硬化発症と長期間にわたる高コレステロール血症によって形成される粥状動脈硬化の進展が抑制された。これらのことから、CHOP欠損は抗動脈硬化的に働くことが示され、ERストレスからCHOPにつながる経路が動脈硬化発症・進展に重要な役割を果たしていると考えられた。 これらの知見をもとに、小胞体ストレスがいかに動脈硬化に関わっているか、CHOPを中心にさらに詳細な解析をおこなっていきたい。
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