2010 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞のAMPK-ACC経路制御による糖尿病性腎症に対する新たな治療戦略
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21591130
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
一色 啓二 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (60378487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 士郎 独立行政法人理化学研究所, ゲノム医科学研究センター・内分泌代謝疾患研究チーム, チームリーダー (50314159)
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Keywords | 糖尿病 / 脂質 / 脂質代謝異常 / 糖尿病性腎症 |
Research Abstract |
新規糖尿病性腎症(DN)関連分子acetyl-CoA carboxylase β(ACC β)のDN進展の関与とその活性抑制を標的としたDNに対する新たな治療戦略の可能性を検討するため、今年度は、下記2点について評価した。 (A)培養糸球体上皮細胞におけるACCβ過剰発現による形態・機能異常の評価 ヒトACCβアデノウィルス感染培養糸球体上皮細胞では野生型に比べACCβ過剰発現によりSlit構成蛋白発現量とactin関連蛋白であるsynaptopodin発現量はACCβ濃度依存性に減少した。ACCβ過剰発現によるアポトーシスへの影響は、野生型に比べACCβの過剰発現により、濃度依存性にcleaved-poly(ADP-ribose)polymerase(PARP)ならびにcleaved-caspase 3が増加し、ACCβによりアポトーシスが惹起された。糸球体上皮細胞におけるACCβ過剰発現によるSlit構成蛋白・synaptopodin発現減少効果、アポトーシス惹起効果の糖濃度による影響を検討するため、通常糖濃度(5.5mM)および高糖濃度(25mM)条件下でのACCβ過剰発現効果の検討を行ったが、糖濃度の違いによる相違はなかった。さらに、上記効果に及ぼす脂肪酸負荷の影響を検討するため、飽和脂肪酸(パルミチン酸)共孵置によるACCβ過剰発現効果の検討を行った。パルミチン酸共孵置により上記効果を認めたが、これらは野生型に比べて、ACCβ過剰発現による増強効果はなかった。 (B)糸球体上皮細胞特異的ACCβ過剰発現トランスジェニックマウス(Tg)の腎局所の脂質代謝と腎機能に及ぼす影響の解析 Tgの尿中アルブミン排泄量(AER)定量、糸球体上皮細胞数や線維化、脂肪蓄積などの腎組織学的検討を行ったが、野生型マウス(WT)に比べて明らかなAERの増加、糸球体障害などの組織学的変化の増悪を認めなかった。DN病態形成における上皮細胞でのACCβ過剰発現の影響を検討するため、高脂肪食誘発2型糖尿病モデルマウスを作製し,AERの検討を行ったところ、TgではWTと比べて、高脂肪食負荷によるAERの明らかな増加はなかった。また組織学的検討も行ったが、TgとWTで糸球体障害の程度に明らかな差はなかった。
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