2011 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞のAMPK-ACC経路制御による糖尿病性腎症に対する新たな治療戦略
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21591130
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
一色 啓二 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (60378487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 士郎 独立行政法人理化学研究所, ゲノム医科学研究センター・内分泌代謝疾患研究チーム, チームリーダー (50314159)
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Keywords | Acetyl-CoA carboxylase beta (ACCβ) / 5' AMP-activated protein kinase (AMPK) / 糸球体上皮細胞 / 糖尿病性腎症 / 腎内脂肪毒性 |
Research Abstract |
糸球体上皮細胞特異的ACCβ過剰発現トランスジェニックマウスの作製と腎局所の脂質代謝と腎機能に及ぼす影響の解析 糸球体上皮細胞の特異的蛋白であるnephrin蛋白のプロモーターを用い、ACCβを糸球体上皮細胞特異的に過剰発現するトランスジェニックコンストラクトを作製し、糸球体上皮細胞特異的なACCβ過剰発現トランスジェニックマウスを作製。 糸球体上皮細胞特異的ACCβ過剰発現が腎局所の脂質代謝や腎機能に及ぼす影響を解析するため、尿中アルブミン排泄量の定量、糸球体上皮細胞数や線維化、脂肪蓄積などの腎組織学的検討を行ったが、野生型マウスに比べて明らかな尿中アルブミン排泄量の増加、糸球体障害などの組織学的変化の増悪は認められなかった。 次に、高脂肪食誘発2型糖尿病モデルマウスを作製し,尿中アルブミン排泄量の検討を行ったところ、糸球体上皮細胞特異的ACCβ過剰発現トランスジェニックマウスでは野生型マウスと比べて、高脂肪食負荷による尿中アルブミン排泄量の明らかな増加は認められなかった。また糸球体障害などの組織学的検討も行ったが、トランスジェニックマウスと野生型マウスで糸球体障害の程度に明らかな差や認められなかった。 そこで、1型糖尿病モデルマウスにおいても、糸球体障害の病因の一つとして腎内脂肪毒性が関与しうることが報告されていることから、ストレプトゾトシン(STZ)誘発1型糖尿病モデルマウスを作製し、STZ誘発1型糖尿病モデルマウスにおける糸球体上皮細胞特異的ACCβ過剰発現のもたらす効果について検討を行ったところ、野生型マウスに比べてACCβ過剰発現トランスジェニックマウスでは尿中アルブミン排泄量の有意な増加を認めた。さらに、腎組織学的に糸球体の線維化、尿細管間質の炎症の増加も認められた。現在糸球体上皮細胞の形態・機能評価を施行中である。
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