2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591133
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 孝昭 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10379258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金藤 秀明 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80448034)
|
Keywords | 糖尿病 / MafA / 膵β細胞 / 活性酸素 / c-Jun |
Research Abstract |
A)2型糖尿病マウスへのMafaの過剰発現 主要なインスリン転写因子であり、糖尿病状態で発現の低下するMafaの糖尿病状態での重要性を直接評価すべく、膵β細胞においてMafa発現誘導し得る糖尿病マウスの作製を行った。Cre recombinaseに反応してMafaを発現するマウス(CAG-CAT-Mafa)と、Tamoxifen(TM)投与下で膵β細胞特異的にCre recombinaseを発現するマウス(PDX1^<PST-BST>)-CreER)のそれぞれをC57BLKs m/mマウスとの間で戻し交配を行い、さらにC57BLKs db/mとの交配を進めることでdb/db糖尿病マウスであり、これらtransgeneを有するマウス(CAT-Mafa ; PDX1-Cre ; db)を作製した。TM投与前には随時血糖、血漿インスリン濃度およびHbAlc値は、CAT-Mafa ; PDX1-Cre ; dbとコントロールdb/dbマウス群との間で差は認められなかったが、TM投与後、CAT-Mafa ; PDX1-Cre ; dbマウスでは対照群に対し随時血漿インスリン濃度が有意に高値となり、随時血糖は有意に低値を示した。TM投与後8週目で測定したHbAlc値も、CAT-Mafa ; PDX1-Cre ; dbマウスでは対照群より有意に低値を示した。糖負荷試験においても、インスリン分泌能が改善し、耐糖能の改善を認めた。また、免疫組織染色上CAT-Mafa ; PDX1-Cre ; dbマウスでは、膵β細胞でのMafa発現及びインスリン及びが保たれていた。一方、対照群との間でインスリン抵抗性に有意差は認められず、耐糖能改善は膵β細胞機能の改善によるものと考えられた。実際に単離膵島を用いた灌流実験によりグルコース応答性インスリン分泌の改善が認められ、膵β細胞へのMafa過剰発現が膵β細胞機能障害を改善し、結果として耐糖能をも改善することが明らかとなった。Mafa発現による膵β細胞機能改善のメカニズムを検討すべく、膵島RNAを用いてMicroarray analysisを行ったところ、コントロールdb/dbマウスと比較して、Mafa発現誘導により、その標的遺伝子であるinsulinやGLUT2の他、GST familyの幾つかの発現増大が認められた。これらはMafaの膵β細胞株でのノックダウンにより有意に発現が低下しており、MafaはGST発現を増大することにより膵β細胞機能を保持する可能性が示唆された。さらに、Dithizone染色を用いて膵臓全体の膵島量を評価したところ、コントロールdb/dbマウスに比べ、Mafa発現マウスでは有意な膵島量の増大が認められた。これら結果から、糖尿病状態にある膵β細胞においてMafaを特異的に発現維持させることにより膵β細胞機能障害の進展が抑制され、膵島量の維持につながるものと考えられた。(論文投稿中) B)糖尿病状態におけるMafA発現調節機序の解析 我々は、活性酸素によるMafA発現の抑制にc-Junが関与している可能性につき報告している。そこで、in vivoでのc-JunのMafAおよび膵β細胞機能への影響を明らかにすべく、c-Jun^<flox/flox>マウスをC57BLKs m/mマウスとの間で8世代の戻し交配を行い,floxed c-JunマウスをKs backgroundとし、C57BLKs ob/+マウスとの交配によりob/ob糖尿病マウスとした上で、膵β細胞においてc-Junを欠失させることに成功した。現在、c-Jun^<flox/flox>;PDX1^<PST-BST>-CreER;ob/obマウスを用いて、成体期膵β細胞特異的にc-Junをノックアウトした影響につき、耐糖能異常を中心に評価している。まだ検討数は充分ではないが、コントロールob/obマウスに比べ、血糖値の改善傾向を認めており、c-Junのβ細胞機能障害への関与が示唆された。
|
Research Products
(1 results)