2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵腺房細胞をソースとした膵β細胞再生の分子基盤の解明
Project/Area Number |
21591137
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 幸太郎 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (80334176)
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Keywords | 膵腺房細胞 / インスリン / 膵β細胞 / 糖尿病 / 再生医療 |
Research Abstract |
本年度は、膵腺房細胞から完全に分化した膵β細胞を誘導するため、実際の膵β細胞が生体でどのような仕組みで分化するのかを特殊なマウスモデルを用いて解析した。マウスインスリン2遺伝子座に改変型エストロゲン受容体とCreリコンビナーゼの融合タンパク質を導入したノックインマウス(Ins2-CreER)を作製し、Rosa26遺伝子座にYFPを導入したマウス(R26R-YFP)と交配してIns2-CreER/R26R-YFPマウスを作製した。このマウスでは、タモキシフェンの投与によって任意のタイミングで膵β細胞を選択的かつ不可逆的に標識できる。正常加齢時、ストレプトゾトシン投与による膵β細胞傷害時、ならびに、新生仔から幼若期にかけての膵β細胞を標識して追跡した。Ins2-CreER/R26R-YFPマウスではタモキシフェン投与により、約30%の膵β細胞が標識された。正常加齢時には6週齢から18週齢まで膵β細胞の標識率に有意な変化は認められず、ストレプトゾトシン投与による膵β細胞傷害時においても標識率は変化しなかった。つまり、これらの条件では膵β細胞の維持における非β細胞の寄与はほとんどないものと考えられた。一方、出生後4週までに膵β細胞量は50倍以上に増加し、2週から4週の間では膵β細胞の標識率が有意に低下することを見出した。さらに、4週齢と8週齢では標識率が変化しないことも発見した。このとき、YFPで標識されない数個から10個程度のインスリン陽性細胞のクラスターが腺房領域内に散見された。この結果は、幼若期のある特定の時期における膵β細胞量の増加には、既存のβ細胞の自己複製だけでなく膵腺房細胞を含む非β細胞からの新生も寄与する可能性を示している。以上の結果から、膵β細胞量の維持には週齢や条件によって異なるメカニズムが寄与していると考えられた。
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Research Products
(11 results)