2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリンコファクターIIによる心リモデリングおよびインスリン抵抗性制御機構の解析
Project/Area Number |
21591140
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
粟飯原 賢一 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70372711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 雅史 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90271080)
岩瀬 俊 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10403718)
藤中 雄一 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30432751)
遠藤 逸朗 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10432759)
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Keywords | ヘパリンコファクターII / トロンビン / 心筋リモデリング / インスリン抵抗性 / 2型糖尿病 |
Research Abstract |
(1) 心筋リモデリングにおける組織トロンビン作用とヘパリンコファクターII(HCII) 我々が確立したHCII欠損マウスは機械的および代謝的血管ストレスによって血管リモデリングの促進異常を来すことが明らかとなった。このマウスを用いてトロンビンおよびHCIIの心筋リモデリングにおける意義について解析を行った。浸透圧ポンプにてアンジオテンシンII(2mg/kg/day)を2週間投与し、左室心筋の病理組織について検討したところ、左室心筋間質の線維化が野生型マウスに比較して、HCII欠損マウスにおいて有意に増大していた。また興味深いことに心房心筋でも同様の所見が認められ、エコーの計測で、HCII欠損マウスにおいて有意な左房容積の増大を認めた。さらに、これらの表現型の成因の一部として、HCII欠損マウス心筋におけるNADPH oxidaseの活性化、PAR-1やTGF-βなどをはじめとする心筋リモデリングの制御因子発現異常が見いだされた。 (2) インスリン抵抗性発症における組織トロンビン作用とヘパリンコファクターII(HCII) 我々は臨床的検討により経皮的冠動脈形成術後の再狭窄や頚動脈プラーク形成を抑制することを報告してきたが、これら患者群のサブ解析を行った結果、糖尿病の発症にはHCII活性の低下が関わっている事が示唆された。また我々が作製したHCII欠損マウスの解析では、野生型マウスに比較して、体重の増加傾向とブドウ糖負荷後の血糖上昇傾向を呈していた。これらの結果は生体における脂肪細胞を含めた血管外組織でのトロンビン作用の活性化がインスリン抵抗性発症に関わる可能性を示唆しており、実際に我々は、合成トロンビン阻害薬のアルガトロバンが、2型糖尿病モデルマウスのインスリン抵抗性を改善させることを明らかにした。
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Research Products
(11 results)