2010 Fiscal Year Annual Research Report
PPARγ血管内皮KOマウスを用いたPPARγの糖尿病合併心血管病抑制機序の解明
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21591142
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
足立 雅広 九州大学, 大学病院, 助教 (00419516)
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Keywords | PPARγ / チアゾリジン誘導体 / 血管内皮細胞 / 動脈硬化 / 遊離脂肪酸 / 炎症性サイトカイン / 酸化ストレス / ApoEノックアウトマウス |
Research Abstract |
PPARγのアゴニストであるチアゾリジン誘導体(TZDs)は、インスリン抵抗性改善作用以外に、脂質代謝に対する作用や、抗炎症作用を有し、臨床試験において2型糖尿病患者における血圧降下作用や、動脈硬化の発症・進展の抑制作用を有することが報告されている。血管内皮に発現するPPARγの機能を解析する目的にて、血管内皮特異的にPPARγの発現を欠失させたPPARγE-ノックアウト(KO)マウスを作成し、大動脈の血管内皮に発現する遺伝子の発現について検討した。コントロールのPPARγE-wildマウスと比して、リポ蛋白リパーゼ(LPL)とCd36の発現低下を認め、それに伴う血中遊離脂肪酸の増加が、動脈硬化の発症、進展の原因となると考えられた。また、PPARγE-KOマウスの大動脈において炎症性サイトカインであるMCP-1の発現の増加、酸化ストレスに関与するp47phoxの発現の増加を認め、血管内皮のPPARγの欠失より、局所的に炎症と酸化ストレスが亢進していることが示唆された。さらに、動脈硬化形成における血管内皮に発現するPPARγの機能を解析するために、動脈硬化モデルマウスであるApoE-KOマウスとPPARγE-KOマウスの交配により、PPARγE-KO/ApoE-KOマウスを作成した。PPARγE-KO/ApoE-KOマウスに高脂肪食下で飼育した結果、コントロールのPPARγE-wild/ApoE-KOマウスと比して、脂肪組織重量/体重比の低下、血中中性脂肪濃度の上昇を認めた。動脈硬化巣の形態学的評価、各種遺伝子発現について解析を行う。
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