2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591143
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阿比留 教生 長崎大学, 病院, 講師 (00380981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古林 正和 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (00380874)
厨 源平 長崎大学, 病院, 医員 (50457579)
中村 寛 長崎大学, 病院, 医員 (70530426)
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Keywords | 1型糖尿病 / 発症予防 / 経鼻免疫 / インスリン / poly:IC |
Research Abstract |
本研究の目的は、膵島自己抗原を用いた抗原特異的免疫寛容療法を中心としたヒト1型糖尿病の進展阻止,および寛解誘導療法の開発である。特に現在臨床応用が進められている、発症直後のヒト1型糖尿病患者に対する自己抗原+Alumアジュバントの皮下投与が、限定的ではあるが、ある一定の効果が報告されてことから、この発症抑制効果を増強させる、自己抗原免疫療法を、投与ルート,アジュバント,補助療法を検討し,新たに開発することである 我々はこれまでに、ヒト1型糖尿病のモデルマウスである、NODマウスに対し、主要な自己抗原である、インスリンB鎖の9-23番目のペプチド(B:9-23)の皮下投与に、poly I:Cの腹腔内投与を併用することで、強力な糖尿病発症抑制効果を報告した。今回は、B:9-23ペプチド+Alumアジュバントを用いた単回皮下投与に、B:9-23ペプチド+poly I:Cを経鼻投与することによる、免疫原性ならびに発症抑制の増強効果について検討した。 自己抗原投与の皮下投与にて明らかな発症抑制効果を示す、4週齢の雌性NODマウスを用いて、B:9-23ペプチド+poly I:Cの経鼻投与を行った結果、明らかに抗ペプチド抗体が誘導され、免疫原性が確認された。しかし、その後の糖尿病発症の有意な抑制効果を認めなかった。 次に、明らかな発症抑制効果を示さない、12週齢の雌性NODマウスを用いて、B:9-23ペプチド+Alumアジュバントの単回皮下投与行い、その後、B:9-23ペプチド+poly I:Cの経鼻投与を行ったところ、皮下投与単独に比して、B:9-23ペプチド+poly I:Cの経鼻投与追加群で有意な発症抑制増強効果を認めた。さらに、別の自己抗原ペプチドである、プロインスリンとGADペプチドの混合ペプチドにおいても、同様に皮下単回投与群に比し、poly I:C混合液の経鼻免疫追加群では、発症抑制効果の増強を認めた。 このように、膵島自己抗原を用いた抗原特異的免疫寛容療法において、現在ヒト1型糖尿病に応用されている自己抗原の皮下投与に加えて、poly ICを粘膜アジュバントに応用した経鼻免疫療法を併用することは、より効果的かつ安全な糖尿病進展阻止法になりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)