2011 Fiscal Year Annual Research Report
第3のガスメッセンジャー硫化水素の誘導性産生機序とその役割の解明
Project/Area Number |
21591146
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
仁木 一郎 大分大学, 医学部, 教授 (10262908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 俊秀 大分大学, 医学部, 准教授 (60404373)
谷口 繁生 大分大学, 医学部, 助教 (90392406)
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
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Keywords | 糖尿病 / 薬理学 / シグナル伝達 / 生体分子 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、第3のガス性メッセンジャーである硫化水素(H_2S)の産生酵素cystathionine-γ-lyase(CSE)の誘導機序とH_2Sの担う細胞機能との関係を、糖尿病に関わりの深い膵B細胞と腎組織を用いて解析し、E_2S産生制御の意義を究明することである。平成23年度の研究では、膵B細胞におけるグルコースによるCa^<2+>依存性CSE発現誘導機序、糖尿病モデルマウス腎組織におけるCSE発現減少とH_2Sによる腎機能保護が明らかになった。阻害薬を用いた薬理学的実験、siRNAを用いた遺伝子ノックダウン実験、ルシフェラーゼレポーターシステムを用いたプロモーターアッセイから、膵B細胞のCSE発現誘導には、Ca^<2+>/calmodulin依存性プロテインキナーゼ(CaMK)II、MAPキナーゼカスケード(MEK-ERK)、ERKによりリン酸化される転写因子Sp1、Elk1が必要であることがわかった。重症糖尿病モデルマウスの腎尿細管では、CSEの発現が減少していること、また、このモデルマウスにH_2SドナーNaHSを投与すると、腎機能が改善する(毛細血管拡張、腎血流量増加)ことがわかった。本年度および昨年度までの成果より、膵B細胞では、糖尿病状態での血糖上昇に応じて、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇、プロテインキナーゼ(CaMKII、MEK、ERK)の活性化、さらに、Sp1、Elk1のリン酸化が起こり、CSEの発現が誘導され、その結果産生されたH_2Sが、抗酸化作用を介して膵B細胞の糖毒性を回避する役割を果たすことが明らかになった。腎臓においては、CSEを介したH_2S産生が腎機能の維持に重要であり、また、H_2Sが糖尿病性腎症の治療に有用であることも明らかになった。これらの成果は、私たちの提唱する、H_2Sの内因性ブレーキ(intrinsic brake)説を強く支持すると考えられる。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Comparison of free light chain removal by four blood purification methods2011
Author(s)
Kanayama K, Ohashi A, Hasegawa M, Kondo F, Yamamoto Y, Sasaki M, Hayashi H, Kato M, Hattori R, Yamashita H, Arai J, Ishii J, Emi N, Yuzawa Y
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Journal Title
Ther.Apher.Dial.
Volume: 15
Pages: 394-399
DOI
Peer Reviewed
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