2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591149
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
花房 俊昭 Osaka Medical College, 医学部, 教授 (60164886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 寛行 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20556435)
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Keywords | 劇症1型糖尿病 / マイクロアレイ / 免疫染色 / ウイルス |
Research Abstract |
劇症1型糖尿病は極めて急激な経過で発症する1型糖尿病の亜型であるが、その原因、発症機序は不明である。本疾患は本邦に比較的多くみられ、また血糖コントロールが困難で合併症が進展しやすいため、原因の究明と新たな治療法の開発が望まれる。 脳心筋炎ウイルス(Encephalomyocarditis virus)を疾患感受性マウスに感染させると、ヒトの劇症1型糖尿病に酷似した経過で糖尿病を発症する。そこでわれわれは、このモデルマウスを用いて劇症1型糖尿病の発症機構の解析を行ってきた。 これまでに経時的な遺伝子の網羅的解析(cDNAマイクロアレイ)によって、発症直前に特定のサイトカインが上昇することを確認し、この分子を阻害する薬物または中和抗体を、ウイルス感染とほぼ同時期に投与すると糖尿病の発症が抑制されることも確認してきた。 そこで本年度は、薬物または中和抗体投与群と非投与群とで経時的に膵臓を摘出し、膵臓組織上どのような差が生じているかを解析した。得られた膵臓をインスリン抗体で免疫染色し、インスリン陽性面積/ランゲルハンス島面積比を算出したところ、投与群において有意に高値であり、β細胞の破壊が軽減されていた。また、感染14目後の膵組織のインスリン含有量を測定した結果、投与群で有意にインスリン含右量が高かった。 同様に、得られた膵組織をマクロファージ抗体にて免疫染色し、マクロファージ陽性面積/ランゲルハンス島面積比にて炎症の程度を比較した結果、投与群で有意に低値であった。したがって確認されていた分子がマクロファージを介するβ細胞の破壊に重要な役割を果たしていると考えられた。また両群間で死亡率に差がなかったため、同分子は治療の標的となりうることが示唆された。
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Research Products
(4 results)