2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591149
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
花房 俊昭 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60164886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 寛行 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20556435)
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Keywords | 劇症1型糖尿病 / encephalomyocarditis virus / GLP-1 / exendin-4 / マクロファージ |
Research Abstract |
これまで私たちは、劇症1型糖尿病の新規治療法を開発するために、encephalomyocarditis virusにより誘発される糖尿病モデルマウスを同疾患のモデルマウスとして用い、病態の検討を行ってきた。そこで、ウイルス感染膵臓より過剰に分泌されるマクロファージ遊走性ケモカイン(MCP-1など)が、著しい膵島炎のトリガーとして重要であることを確認してきた。そこで、膵β細胞保護作用と、炎症細胞に何らかの機能的修飾を発揮するとされるGLP-1受容体作動薬、exendin-4が、劇症1型糖尿病の発症に抑制的に働くと仮説をたて、研究を行った。 同モデルマウスにウイルス感染2日前から10日間、exendin-4を40nmol/kg/dayまたは20nmol/kg/day投与した場合、用量依存的に糖尿病発症を抑制することを確認した。 そのメカニズムとして、ウイルス感染マクロファージ由来のTNF-α、IL-1β、iNOSの産生を、exendin-4が直接抑制し、さらにそれらにより誘導される膵β細胞アポトーシスを、exendin-4が直接抑制するといった、二重の効果が背景に存在することを明らかにした。その結果として、exendin-4投与群は、非投与群に比べ、有意に膵島炎を軽減させ、さらに膵β細胞量を保持したものと考えられた。以上の結果は、劇症1型糖尿病発症直後の治療として、GLP-1受容体作動薬が膵β細胞の保護作用(抗アポトーシス効果)および活性化マクロファージの炎症性サイトカイン産生抑制効果を介して、有用に作用する可能性を示唆するものと考えられた。 劇症1型糖尿病は、膵β細胞障害が惹起されてから数日中に膵β細胞が完全消失し、インスリン治療を余儀なくされる疾患であるが、発症早期のexendin-4投与が、インスリン治療の回避、またはより少ないインスリン量で良好な血糖コントロールを得るための新規治療法となり得ることを示唆する点で、重要な知見であると考えられる。
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Research Products
(3 results)