2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトとマウスの相同性を駆使した1型糖尿病遺伝子の同定ならびに機能解析
Project/Area Number |
21591152
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 由美子 近畿大学, 医学部, 准教授 (80423185)
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 講師 (90460849)
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / 1型糖尿病 / 自己免疫 / モデル動物 |
Research Abstract |
インスリン遺伝子の胸腺における発現調節機構を解明する目的で、転写因子の観点から解析した結果、マウスの胸腺ではインスリン1(Ins1)は発現しておらず、インスリン2(Ins2)のみが発現していること、膵β細胞の転写因子の中ではPdx1, NeuroDは発現を認めないのに対して、MafAのみは胸腺においても発現している事が明らかとなった。1型糖尿病のモデル動物であるNODマウスとコントロールマウスを比較すると、NODマウスの胸腺においてはIns2、MafAともにコントロールマウスに比し、発現が有意に低下していること、両者の発現量には有意な正相関を認めることが明らかとなった。一方、胸腺における転写のマスターレギュレーターであるAireの発現にはNODマウスとコントロールで有意差を認めず、Ins2発現との相関も認めなかった。胸腺におけるIns2とMafAの発現を蛋白レベルで確認する目的で免疫染色すると、上皮細胞において両者が共発現していることが示された。MafAによるIns2の発現調節を直接証明する目的で、MafAをノックアウトすると胸腺におけるIns2の発現が有意に顕著な低下を示したことから、MafAがIns2の発現を直接調節していることが明らかとなった。NODマウスにおけるMafA発現低下の分子メカニズムを解明する目的で、MafA遺伝子の全塩基配列を決定した結果、NODマウスではプロモーターに複数の塩基置換を認めた。レポーターアッセイの結果、これらの多型は発現低下をきたす機能変異であることが示された。以上の結果より、胸腺におけるインスリン遺伝子発現はMafAにより転写調節されており、1型糖尿病モデルマウスではMafA promoterの機能多型により胸腺におけるMafAならびにインスリンの発現低下をきたして1型糖尿病疾患感受性を示すことが示唆された。
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Research Products
(4 results)