2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトとマウスの相同性を駆使した1型糖尿病遺伝子の同定ならびに機能解析
Project/Area Number |
21591152
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 由美子 近畿大学, 医学部, 准教授 (80423185)
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 講師 (90460849)
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
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Keywords | 1型糖尿病 / ゲノム / 遺伝子 / 自己免疫 / モデル動物 / NODマウス |
Research Abstract |
膵β細胞に対する臓器特異的自己免疫疾患である1型糖尿病の予防・治療・根治法構築に資する分子メカニズムの解明を目的として、ヒトとモデル動物の両面から分子遺伝学的に解析を進めた。従来同定されてきた1型糖尿病の疾患感受性遺伝子は、その大部分が免疫調節に関与する遺伝子であり、1型糖尿病のみならず他の自己免疫疾患にも関与する遺伝子である。このため、これらに対する介入は正常免疫機能にも影響を与えることが問題であり、実臨床への応用には膵β細胞特異的な自己免疫機序の解明とそれに対する介入法の構築が不可欠である。 本研究では1型糖尿病のモデルNODマウスにおいて詳細な解析を行った結果、胸腺における自己抗原インスリンの発現が大きく低下していること、そのメカニズムとしてインスリン特異的転写因子MafAのプロモーターにNODマウスでは特異的な機能バリアントが存在し、これがMafAの発現低下を介して胸腺におけるインスリン発現低下をきたし、インスリン特異的な自己反応性T細胞の淘汰が不十分となることを解明した。さらに、ヒト対応遺伝子MAFAに2つの機能多型を新たに同定し、これらをともに有するハプロタイプが1型糖尿病の疾患感受性と関連を示すことを明らかにした。これらの結果は、胸腺のインスリン発現調節機構が1型糖尿病疾患感受性に大きく関与することを示すとともに、この分子メカニズムへの介入が正常免疫には影響を与えずに膵β細胞特異的に自己免疫を抑制するという予防法・治療法構築を実現しうると言う点で極めて重要な成果である。
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Research Products
(37 results)