2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞生理活性因子による内臓肥満制御の分子基盤解明と新規治療法の探索
Project/Area Number |
21591153
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
加来 浩平 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10116709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 道裕 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (00165797)
柱本 満 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40346680)
菅田 有紀子 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40351895)
俵本 和仁 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70368629)
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Keywords | 血管内皮細胞特異的PDK1欠損 / 高血糖マウス / 血管新生 / インスリン抵抗性 / 骨格筋 / 内臓脂肪 / HIF1 / VCAM1 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満を基に、様々な代謝異常を呈し糖尿病や動脈硬化疾患の基盤となる。申請者らは血管新生とadipogenicityの関連性に着目し、血管内皮細胞特異的PDK1欠損(VEPDK1KO)マウスを作製し、PDK1を鍵分子とする血管内皮細胞生理活性因子による内臓脂肪量調節の分子基盤解明を進めてきた。VEPDK1KOマウスでは高脂肪食負荷時の内臓脂肪組織重量増加の抑制、脂肪細胞の小型化、インスリン感受性増強及び耐糖能改善がみられ、その機序として、脂肪組織の血管新生抑制による内臓脂肪量減少が炎症機転の抑制に働く結果であることを解明した(MolEndocrinol 2012)。一方、肥満2型糖尿病モデルdb/dbマクスとVEPDK1KOとの交配で得られたdb/db-VEPDK1KOは高脂肪食負荷時と同様に体重減少、内臓脂肪重量の低下を示したが、食後インスリン値の増加、インスリン負荷試験でも筋を中心とした全身のインスリン抵抗性がみられた。 db/db-VEPDK1KOでは脂肪組織に加えて骨格筋内の血管新生が低下し、さらにインスリン受容体の蛋白発現も低下していた。STZにより高血糖を惹起したVEPDK1KOマウスでも同様の所見を得た。この高血糖マウスでは骨格筋におけるVEGF,VEGFR,HIF1遺伝子発現に変化はなく、VCAM1の高発現を蛋白レベルでも認めた。以上の結果から、高血糖マウスの骨格筋内の血管新生低下の機序として、PI3K-PDK1シグナル抑制により増加したMAPKシグナルがVCAM1活性上昇をもたらし、その結果HIF1シグナル抑制をもたらしたものと想定された。糖尿病の遺伝的背景が無い限り、血管新生の低下は抗肥満・インスリン感受性亢進をもたらすが、糖尿病の遺伝的背景を伴う場合には骨格内血管新生も加えて低下し、全身のインスリン抵抗性が悪化すると考えられ、内臓肥満制御には、脂肪組織内血管特異的なPDKI活性抑制が必要と考えられた。
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Research Products
(4 results)