2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591154
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山田 研太郎 Kurume University, 医学部, 教授 (10191305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田邊 修一 久留米大学, 医学部, 助教 (70194553)
中山 ひとみ 久留米大学, 医学部, 助教 (20368955)
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Keywords | メタボリックシンドローム / アディポネクチン / 寿命 / 老化 / KK / Taマウス / 慢性炎症 / Klothoマウス |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームモデル動物であるKK/Taマウスにアディポネクチントランスジェニックマウスを10世代バッククロスし、高アディポネクチン血症を有するKK/Taマウスを作製した。KK/Taマウスの平均寿命は57.6±13.9週と短命であったが、高アディポネクチンKK/Taマウスは73.6±16.6週と寿命が延長していた(p<0.001)。高アディポネクチンKK/Taマウスは耐糖能およびインスリン感受性の軽度の改善を示したが、体重および摂餌量には差がなかった。アディポネクチンの寿命延長作用の機序を明らかにするために、自然死したKK/Taマウスを解剖し死因の検索を行った。一般にマウスの多くはリンパ腫等の腫瘍性病変や腎機能障害により死亡するとされている。しかし、自然死したKK/Taマウス22匹のうち腫瘍病変が認められたのは3匹のみであり、明らかな腎病変を示すマウスはいなかった。また、大動脈および心臓に動脈硬化性病変は認められなかった。一方、肝におけるC-ペプチド発現のRT-PCR解析では、KK/Taマウスで発現が高く、高アディポネクチンKK/Taマウスでは発現の抑制が示された。したがって、アディポネクチンはKK/Taマウスの特定の疾患を抑制することにより寿命を延長するのではなく、全身の慢性炎症の抑制とそれによる酸化ストレスの軽減を通じて寿命を延長すると推定された。Klothoマウスは常染色体劣性のカルシウム代謝異常を有し、大部分が8-9週齢で死亡する短命マウスであり、成因的には異なるものの、ヒトに類似した多発性の老化性表現型を呈する。Klothoマウスの表現型はKlotho遺伝子だけでなくマウス系統の遺伝背景による影響を受ける。そこで多因子遺伝のKK/Taマウスと同様に、高アディポネクチン発現マウスをKlothoマウスに10世代バッククロスし、アディポネクチンを肝において発現するKlothoマウスを確立した。このトランスジェニックマウスを、Klothoマウスの老化表現型に対するアディポネクチンの効果を検討する22年度以降の研究に用いる。
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