2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓の糖産生制御における転写共役因子CITED2の役割の解明
Project/Area Number |
21591155
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
松本 道宏 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所・糖尿病研究センター分子代謝制御研究部, 部長 (90467663)
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Keywords | CITED2 / 肝糖産生 / 遺伝子転写 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
昨年に引き続き、転写共役因子CITED2の肝糖産生調節における関与をin vivo、in vitroにおける機能欠損/獲得実験により検討した。肝細胞におけるCITED2のノックダウンにより、グルカゴンによる糖産生系酵素の発現誘導が障害され、逆に強発現により糖産生系酵素の発現が著明に増強した。マウスの肝臓におけるCITED2強発現により糖産生系酵素の発現亢進と血糖値の上昇を認めた。また、db/dbマウスの肝臓におけるCITED2のノックダウンでは高血糖の改善を認めた。 転写共役因子PGC-1αがグルカゴン・cAMP経路により発現が誘導され、糖産生系酵素の発現誘導を介した肝糖産生に重要な役割を果たすことから、PGC-1αによる糖産生系酵素発現誘導へのCITED2の関与について検討した。PGC-1α依存性の糖新生系酵素の発現誘導はCITED2の強発現で増強し、ノックダウンによって減少した。これらの結果からCITED2がPGC-1αの活性を増強する可能性が示唆された。CITED2によるPGC-1α活性増強作用の分子機構を検討した結果、CITED2はPGC-1αのアセチル化酵素であるGCN5と複合体を形成し、PGC-1αのアセチル化を抑制することによりその活性を増強させることが明らかとなった。CITED2はPGC-1αの活性調節により、糖産生系酵素発現を介した肝糖産生を制御していることが示唆された。今後、CITED2によるPGC-1αの活性調節の分子機構についてさらに詳細な解析を行う予定である。
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Research Products
(11 results)