2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗動脈硬化性脂質スフィンゴシン1-リン酸の産生制御とABCA1トランスポーター
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21591158
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 幸市 Gunma University, 生体調節研究所, 助教 (00302498)
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Keywords | ABCA1トランスポーター / スフィンゴシン1-リン酸 / リポ蛋白質 / スフィンゴシン / HDL / 抗動脈硬化性脂質 / ApoAI / スフィンゴシンキナーゼ |
Research Abstract |
抗動脈硬化性脂質であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)はスフィンゴシンキナーゼの働きにより細胞内で産生され細胞外に放出される私達はS1Pが血中では高密度リポ蛋白質(HDL)に濃縮していることを発見した。本研究では、血中S1PがHDL形成に必須であるABCA1トランスポーターを介して細胞外に放出されることを、ABCA1トランスポーター(ABCA1)やレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の欠損マウスを適宜用い、個体レベル、細胞レベルで明らかにする今年度は、マウスの血液に含まれる新生HDLや成熟HDLとS1Pの存在様式について以下のように解析した。 (1)マウス血漿のリポ蛋白質とS1P:ABCA1やLCAT欠損したマウスの血液から有機溶媒で生理活性脂質画分(S1Pを含む)を抽出し、血漿S1Pの濃度を測定した。また、血漿リポ蛋白質画分(VLDL、LDL、HDL)を分離し、アガロースやアクリルアミド電気泳動のウエスタンブロットでリポ蛋白質の精製度を確認後、S1Pの分布を調べた。その結果、ABCA1欠損マウスのHDL画分にHDL粒子とS1Pが検出されないこと、LCATマウスの新生HDLに結合したS1Pの比活性(ApoAI当り)が野生型マウスのHDLの場合と変わらないことが検出された。これらの実験によって、新生HDL(preβ-HDL)粒子にS1Pが含まれており、新生HDLの形成を担うABCA1がHDL-S1P複合体の形成に関与していると推測された。 (2)インビボでの再構成実験:脱脂したヒトApoAIを野生型マウスやHDL欠損マウスの尾静脈から注入し、血漿に出現してくるHDL粒子をモニターするとともに、血漿S1Pの濃度変化を調べた。しかし、マウスの血漿HDLに比して十分量のヒトApoAIを注入できないためか、マウスの血漿S1P濃度への影響を検出できなかった。
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