2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス応答とリン脂質酸化変性の意義-単球/マクロファージ接着亢進機序の解明
Project/Area Number |
21591165
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
及川 眞一 日本医科大学, 医学部, 教授 (30142946)
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Keywords | リン脂質 / 酸化変性 / PCOOH / 単球 / 接着 / ICAM-1 / Rac |
Research Abstract |
生体膜やリボタンパク質表面の主要なリン脂質であるphosphatidylcholine(PC)の酸化一次生成物であるphosphatidylcholine hydroperoxide(PCOOH)によって誘導されるヒト単球由来THP-1細胞の血管内皮細胞接着分子ICAM-1への接着について、前年度に引き続きその作用メカニズムの解析を進めた。Rhoファミリー低分子量Gタンパク質Rac1がPCOOHによって活性化されることを前年度までに見出していたが、本年度は、Rac1とともにRac2もまた、PCOOHによって活性化されることをpull-down assayによって明らかにした。またこのとき、他のRhoファミリー低分子量Gタンパク質であるRhoAの活性はPCOOHによって低下していた。さらにsiRNAを用いてRac1やRac2の発現量を低下させたTHP-1細胞においては、実際にPCOOH刺激によるアクチン重合を伴ったprotmsion構造の形成やICAM-1への接着能が低下することが確認された。これらの結果から、PCOOHによるTHP-1細胞のICAM-1への接着誘導には、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の活性の変化が中心的な役割を果たしており、『PCOOH→Rac1、Rac2の活性化→アクチン重合促進・protrusion構造形成→LFA-1を介したICAM-1への結合強化』という接着誘導の機序が明らかとなった。
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