2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規成長ホルモン不応性成長障害の発症機序に関する分子医学的研究
Project/Area Number |
21591183
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
京 雪楓 Wakayama Medical University, 付置研究所, 助教 (70316123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 貴宏 和歌山県立医科大学, 付置研究所, 助教 (00382325)
坂口 和成 和歌山県立医科大学, 付置研究所, 教授 (60178548)
宮島 正康 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80137257)
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Keywords | 成長障害 / 成長ホルモン / Eph / IGF1 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
EphA4 KOマウスの体格が小さいことから、EphA4が成長ホルモン(GH)のシグナルに関係することを推測した。このマウスは、EphA4の遺伝子量依存性に体格が小さい成長曲線を示す。体重割の食事量はEphA4(-/-)がEphA4(+/+)より多い。 GH受容体下流のシグナル伝達系とEphA4との分子間相互作用を詳しく調べるために、EphA4(-/-)マウスの胚由来線維芽細胞(MEF)にレトロウイルスベクターを用いてEphA4を発現させた細胞およびベクターのみを発現させた細胞を用い、GH受容体下流のシグナル分子の活性化を調べた。EphA4はGH受容体と直接結合しGHに対するJak 2以降のシグナルを増強すること、その作用はephrin-A1刺激によりさらに増強することが判明した。IGF1受容体の下流シグナルにはEphA4は影響を与えなかった。また、このMEFではGH刺激のない状態でIGF1mRNAの転写が亢進しており、GHおよびephrin-A1刺激時にはそのmRNA産生がさらに亢進することを発見した。 経骨近位部軟骨成長板内の軟骨増殖分化はEphA4(-/-)マウスにおいて全般的に抑制されており、血中GHおよびIGFBP3の値が1/3程度に減少していたことから下垂体でのGH産生障害も疑ったが、GHmRNA産生量には異常は認められなかった。肝臓にはEphA4は発現していた。軟骨成長板内でのEphA4mRNAの発現を調べるためcRNA probeを用いてIn Situ Hybridizationを実施した。この研究から、生後の軟骨成長板にはEphA4mRNAは検出可能な程度には発現していないことが判明した。 以上の結果をまとめると、EphA4が肝臓およびその他の組織でのIGF 1 mRNA転写に関与し、そのリガンド(ephrin-A1)刺激によりGH刺激と相乗的にIGF1mRNAの転写が亢進することが判明した。軟骨成長板でEphA4の発現がないことも含めて考えると、EphA4は内分泌IGF1の産生に影響を与えることで体格の大小を決定する一つの因子であると考えられる。
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