2011 Fiscal Year Annual Research Report
先天性中枢性性腺機能異常症における標準的遺伝子診断法の開発と疾患成立機序の解明
Project/Area Number |
21591188
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Research Institution | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
Principal Investigator |
佐藤 直子 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 共同研究員 (10383069)
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Keywords | 成人不妊 / DHPLC法 / 遺伝子診断システム / 標準的遺伝子診断法 / 先天性中枢性性腺機能異常症 / 少子化対策 / WAVEシステム / 遺伝的異質性 |
Research Abstract |
先天性中枢性性腺機能異常症は、性腺刺激ホルモンと卵胞刺激ホルモン分泌低下で定義され、不妊原因の代表疾患であるのみならず、ゴナドトロピン治療という原因療法が可能な疾患であり、様々なパターンで発症する。本研究目的は、成人不妊症患者を対象として、(1)遺伝的異質性の高い先天性中枢性性腺機能異常症における遺伝子変異解析の効率化を目指し、熱変性高速液体クロマトグラフィーシステムWAVE法(以下DHPLC法)を用いた変異スクリーニング法を開発し、安価で、包括的・継続的な遺伝子診断システムを構築すること、(2)変異陽性例の臨床スペクトラムを決定すること、(3)in vitro機能解析で先天性中枢性性腺機能異常症の疾患成立機序を解明すること、(4)治療効果を分子の観点から評価し、治療法選択の基盤を作ることである。得られる知見は、先天性中枢性性腺機能異常症の診断の効率化と治療効果の向上により、少子化対策に貢献すると期待される。平成22年度では、平成21年度に先天性中枢性性腺機能異常症の責任遺伝子変異スクリーニング法として使用条件を確立したDHPLC法および直接シークエンス解析を用いて、収集した患者検体の変異解析を行い、新たに変異陽性患者を5例(KAL1変異1例、FGFR1変異2例、PROKR2変異2例)を同定した。平成23年度では、標準的遺伝子診断法確立のため、継続可能なシステム作りを目指し、さらに解析条件を改善し、診断効率を高めた。また、先天性中枢性性腺機能異常症の疾患成立機序を明らかにするため、新たに同定された変異において、機能解析を現在行っている。今後は、変異および臨床解析結果をデータベース化し、臨床に直結するデータを患者へ還元し、不妊治療の選択基準の確立化を目指していく。近年、先天性中枢性性腺機能異常症の病因・病態にoligogenicityの関与が推測されており、次世代シーケンサーとの併用を検討し、複雑な疾患成立機序を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(11 results)