2010 Fiscal Year Annual Research Report
グレリンによる中枢神経系を介した肝細胞増殖および再生能機構の解明
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21591190
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
細田 洋司 独立行政法人国立循環器病研究センター, 再生医療部, 室長 (40359807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 幹也 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生化学部, 部長 (50291183)
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Keywords | グレリン / 生理活性 / 神経科学 / 再生医学 |
Research Abstract |
エネルギー代謝の恒常性維持に中枢神経系と肝臓の臓器間相互作用は重要な役割を果たし、主に迷走神経がその情報伝達経路を担っている。一方、肝損傷時の修復過程や肝細胞増殖制御における中枢神経系の関与については不明である。我々は、末梢性グレリンが迷走神経系を介して中枢神経系にそのシグナルを伝達し、肝細胞増殖調節や肝組織損傷時の修復制御に関与することを新たに見出した。今年度の本研究において、70%肝部分切除ラットを用いて、グレリン末梢投与による肝再生促進作用および摂食量制限による肝再生能への影響を検討した。得られた結果は、(1)グレリン投与により肝細胞増殖能が促進された、(2)摂食量制限により肝再生能は抑制された、(3)グレリン投与によりその摂食量制限による肝再生低下を抑制した、である。これらの作用は、主に肝細胞の増殖促進による効果であり、迷走神経系を介して発現したものと思われる。また、グレリンに特異的なアナボリック作用により、摂食量制限などのエネルギー量低下においても肝再生が促進された。以上より、この70%肝部分切除ラットにおいて、グレリンは中枢神経系を介して肝細胞増殖作用を発揮するとともにエネルギー代謝の改善によって、肝再生機能改善に関与しているものと考えられる。
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