2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性リンパ腫のmicroRNA発現異常の探索,診断と治療法への応用
Project/Area Number |
21591191
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田川 博之 Akita University, 大学院・医学系研究科, 講師 (30373492)
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Keywords | NK / T細胞リンパ腫 / マイクロRNA / 悪性リンパ腫 / AKTシグナル / PTEN / SHIP1 |
Research Abstract |
NK細胞リンパ腫/白血病はnatural killer細胞由来のリンパ腫/白血病である。このリンパ腫サブタイプに特徴的な転座異常・遺伝子異常の探索がなされてきているがいまだ同定されていない。しかしながら、近年、「マイクロRNA」が腫瘍形成に関連しているとの報告が多数あり、NK細胞リンパ腫/白血病においても、その異常発現が腫瘍形成の原因となる可能性があると考え、特徴的なマイクロRNAの発現解析及び機能解析を施行した。研究方法としては、NK細胞リンパ腫/白血病細胞株、臨床検体(NK細胞リンパ腫/白血病)、正常検体を用い、ノーザンブロット法と定量化PCR法(TaqmanPCR)にて発現解析を、レンチウィルスを用いたマイクロRNAの導入やアンチセンスオリゴヌクレオチド法等にて機能解析を施行した。発現解析では、正常検体と比較し、NK細胞リンパ腫/白血病細胞株においてマイクロRNA21,155が、またNKリンパ腫の臨床検体においてもマイクロRNA21,155が有意に発現亢進していた。機能解析では、マイクロRNA21のアンチセンスオリゴヌクレオチド法と遺伝子導入法等により、NK細胞リンパ腫ではマイクロRNA21の過剰発現がPIP3の脱リン酸化酵素であるPTENの蛋白の発現を抑制してPI3K-AKTシグナル伝達経路を活性化し、抗アポトーシス作用により造腫瘍に寄与する事を明らかにした。また、マイクロRNA155の機能解析においても同様に、アンチセンスオリゴヌクレオチド法と遺伝子導入法を行った所、マイクロRNA155の過剰発現がPIP3の脱リン酸化酵素であるSHIP1の発現を抑制し、そしてマイクロRNA21と同様に、AKTシグナルの活性化を来たすことが示唆された。また、ルシフェラーゼアッセイによりマイクロRNA155が、直接SHIP1遣伝子に結合してその発現を制御することを明らかにした。これらのことより、NK細胞リンパ腫/白血病の形成にマイクロRNA21と155の過剰発現が重要な役割をはたしており、それらはPI3K-AKTシグナル伝達経路の活性化を来たし、造腫瘍性に関与していると考えられる。
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Research Products
(3 results)