2011 Fiscal Year Annual Research Report
悪性リンパ腫のmicroRNA発現異常の探索,診断と治療法への応用
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21591191
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田川 博之 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30373492)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / microRNA |
Research Abstract |
miRNAの発現異常は、悪性リンパ腫において次々と報告されている。NK細胞リンパ腫細胞株と正常対応細胞を使って、ノーザンプロット解析によるスクリーニングを行い、いくつかの過剰発現miRNA候補と発現低下を示すmiRNAを見出した。正常のNK細胞の発現と比較すると患者検体、細胞株ともにmiR-21とmiR-155は著しく発現亢進していること、miR-150が正常検体と比較して発現低下していることを見出した。細胞株と臨床検体の解析では、miR-21とmiR-155の発現パターンはどちらも排他的相関関係(mutuallyexclusive)を示した。代表的なOncomiRであるmiR-21とmiR-155が過剰発現していたことから、NK細胞リンパ腫細胞株を用いてmiRNAのノックダウンと遺伝子導入による機能解析を行った。その結果PTENとPDcD4という2つのがん抑制蛋白の発現レベルが上昇することが確認された。miR-155の標的の探索を行いSHIP1/INPP5D遺伝子を同定した。これらの酵素の発現低下により、リン酸化AKT^<ser473>(pAKT)の発現量は上昇する。我々はmiR-155が過剰発現している細胞株で、その発現をノックダウンしたところPTENの発現量の変化なしにSHIP1の発現が上昇し、pAKTの発現量が低下した。miR-155は実際、3'UTRに結合することによりSHIP1の発現を抑えうる。NK細胞腫瘍ではmiRNAの発現異常によりがん抑制的蛋白である2つの脱リン酸化酵素の発現量の低下を通じてAKTの活性化を来すことが強く示唆された。NKリンパ腫で、miR-150の発現が正常対応細胞と比較して、著しく発現が低下していることを見出しmiR-150は細胞老化に関与し、その発現低下は不死化に寄与すると考えられる。このmiR-150の標的蛋白はがん遺伝子AKT2であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)