2010 Fiscal Year Annual Research Report
多発性骨髄腫の微小環境の制御におけるプラスミンの役割
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21591193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
HEISSIG Beate 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (30372931)
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Keywords | 血液線維素溶解系 / マサリックスメタロプロテイナーゼ / リンパ腫 / 細胞浸潤 / Kit-ligand / 血管新生 / 微小環境 / 骨髄細胞 |
Research Abstract |
本研究では多発性骨髄腫の病態形成における線溶系亢進の生理学的意義と骨髄腫細胞の骨髄内増殖及び浸潤機構、そして骨髄微小環境がその機構中で担う役割を解明することを目的とする。近年、多発性骨髄腫の病勢と、一部の線維素溶解系(線溶系)因子の血中濃度との相関が指摘されており、骨髄腫及びストローマ細胞より供給されるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及びこれを制御する線溶系酵素群が骨髄腫細胞増殖の制御因子となっている可能性が指摘されている。昨年度までの研究で代表者らは、近交系マウスにマウス由来の多発性骨髄腫、B細胞性リンパ腫を皮下に移植することにより、生体内で骨髄腫細胞が増殖するプロセスを精査するモデルを確立した。今年度の研究では、これらのマウスにMMP阻害剤を投与することにより骨髄腫・リンパ腫の増殖抑制が起ることを明らかにし、このことはこれらの腫瘍増殖過程においてもMMPの活性が重要な役割を有していることを示唆したものと言えよう。さらに代表者らは、線溶系・プラスミン阻害剤の投与が、一部の白血病・リンパ腫の増殖を抑制し得ることを明らかにしており、このことは潜在型酵素pro-MMPから活性型MMPへの変換を制御する線溶系酵素群が、その上流からMMP活性を制御することによって、Kit-ligandをはじめとする各種細胞増殖因子の細胞外ドメイン分泌を促進すること、また腫瘍増殖に至適な微小環境を構築する接着分子ないしは細胞群を動員することによって血液腫瘍の生体内増殖を制御している可能性を示唆するものである。現在、代表者らはマウス及びヒト骨髄腫モデルにおける、これら線溶系・プラスミン阻害剤の作用について精査中であり、本研究成果は多発性骨髄腫の新規分子療法開発の基礎研究としても重要な意味を有している。
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