2009 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞の恒常的活性化シグナルとチェックポイント機構に対する統合的分子標的療法
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21591194
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 修 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 教授 (10209710)
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Keywords | BCR / ABL / imatinib / p53 / nutlin-3 / Mdm2阻害薬 / sorafenib / etoposide / chk1 |
Research Abstract |
まず、チロシンキナーゼ異常による恒常的シグナル活性化の、抗癌剤耐性獲得機構における意義を明らかにする事を目標として検討を行った。BCR/ABLに対してはimatinibおよびdasatinibを用い、またFlt3-ITDとJak2-V617Fに対してはそれぞれsorafenibとJakI-1を用いてTopo II阻害剤であるetoposideでの処理の影響を検討したところ、これらのキナーゼ活性を抑制した上でのetoposideの処理では、Chk1の活性化は一過性に認めるのみでG2/M期での細胞周期停止は持続せずにアポトーシスが誘導された。また、この際にはGSK3ssの強い活性化が認められ、GSK3阻害剤であるLiClやSB216763によりChk1活性化の持続的活性化は復活しアポトーシスの回避効果が認められた。また、sorafenibがimatinib耐性のT315I変異体を含めてBCR/ABLを抑制することによりPh陽性白血病にアポトーシスを誘導することを見いだした(Cancer Res.69 : 3917, 2009)。次に、恒常的チロシンキナーゼ活性化シグナルの阻害と相乗的に作用し、白血病細胞のアポトーシスを誘導する細胞内シグナル制御法を開発するため、特にMDM2阻害薬nutlin-3aについてBCR/ABL阻害剤でPh陽性白血病の治療に用いられているimatinibとの相乗効果の可能性につき検討した。その結果、Ph陽性ALLおよびCML急性転化症例の臨床検体や、imatinib耐性E255K変異BCR/ABL発現株を含めたBCR/ABL発現細胞において、Mdm2阻害薬nutlin-3がp53の発現誘導を介してimatinibと相乗的にBaxの活性化とmitochondria依存性アポトーシスを誘導することを明らかにした(Apoptosis, in press)。
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