2010 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞の恒常的活性化シグナルとチェックポイント機構に対する統合的分子標的療法
Project/Area Number |
21591194
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 修 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10209710)
|
Keywords | BCR/ABL / imatinib / p53 / nutlin-3 / Mdm2阻害薬 / sorafenib / etoposide / chk1 |
Research Abstract |
増殖・アポトーシス・チェックポイント制御のシグナル伝達ネットワークを統合的に標的とした根治的な白血病治療法の開発を目指して、これらの分子標的薬および抗癌剤の相乗的かつ効果的な組み合わせを見いだすと供に、その相乗効果の分子機構を明らかにして併用療法開発の理論的基盤の確立を目指すために検討を行った。まず、MDM2阻害薬nutlin-3aについてBCR/ABL阻害剤でPh陽性白血病の治療に用いられているimatinibとの相乗効果の可能性にっき検討した。その結果、Ph陽性ALLおよびCML急性転化症例の臨床検体や、imatinib耐性E255K変異BCR/ABL発現株を含めたBCR/ABL発現細胞において、Mdm2阻害薬nutlin-3がp53の発現誘導を介してimatinibと相乗的にBaxの活性化とmitochondria依存性アポトーシスを誘導することを明らかにした(Apoptosis 15 : 608-20, 2010)。さらに、BCR/ABLのみでなく他の造血器腫瘍で異常活性化を示すFlt3-ITDやJak2-V617Fが、種々の抗癌剤処理時のChk1活性化を亢進することによりG2/M期ブロックの促進を介してアポトーシスが回避されることを見いだし、sorafenibやJakI-1がこの機構を抑制することにより抗癌剤と相乗的にアポトーシスを誘導することを見いだした(第72回日本血液学会総会,投稿準備中)。また、この過程にはGSK3βの活性が重要な役割を持つことを見いだすと供に、Jak2-V617F変異体がubiquitin/proteasome系を介して分解を受けることが、JakI-1と抗癌剤とによる相乗的アポトーシス誘導機構と関連することを見いだし報告した(第72回日本血液学会総会,投稿準備中)。
|