2011 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞の恒常的活性化シグナルとチェックポイント機構に対する統合的分子標的療法
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21591194
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 修 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10209710)
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Keywords | BCR/ABL / imatinib / Flt3-ITD / sorafenib / Jak2-V617F / etoposide / Chkl / HSP90 |
Research Abstract |
増殖・アポトーシス・チェックポイント制御のシグナル伝達ネットワークを統合的に標的とした根治的な白血病治療法の開発を目指して、これらの分子標的薬および抗癌剤の相乗的かつ効果的な組み合わせを見いだすと供に、その相乗効果の分子機構を明らかにして併用療法開発の理論的基盤の確立を目指すために検討を行った。まず、エトポシド(VP16)やドキソルビシン(DXR)などの抗癌剤処理によるDNA損傷ストレスが、チロシンキナーゼ阻害薬による活性阻害下にJak2-V617Fのユビキチン・プロテアソーム系およびカスパーゼによる分解をもたらすことを見出した。またこの機構の制御にはGSK3Bが重要な役割を果たし、この機構によりチロシンキナーゼ阻害薬と抗癌剤により相乗的にカスパーゼ活性化とアポトーシス誘導がもたらされることを示し報告した(PLoS ONE,6:e27397,2011)。更に、Fl3-ITDに関してはHSP90の機能を特異的阻害薬で抑制することで、E3ユビキチンリガーゼc-Cb1およびCb1-bによりK48を介したポリユビキチン化を受けて、ユビキチン・プロテアソーム系にて分解を受けることが、JakI-1と抗癌剤とによる相乗的アポトーシス誘導機構と関連することを見いだし報告した(J.Blol.Chem.286:30263-73,2011)。また、BCR/ABL、Flt3-ITD、Jak2-V617F等のチロシンキナーゼ変異体がPI3K/Aktシグナル経路の活性化を介したGSK3βの抑制によりChklの活性化を亢進させることで抗癌剤耐性をもたらす事と、これらの活性化異常チロシンキナーゼに対する分子標的薬と種々の抗癌剤が相乗的にアポトーシスを誘導することを見いだした(投稿準備中)。
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