2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄増殖性疾患における骨髄内低酸素環境破壊と正常造血抑制機構の解明
Project/Area Number |
21591197
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
桐戸 敬太 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90306150)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (50186798)
迫江 公己 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (10398505)
|
Keywords | 骨髄増殖性疾患 / 低酸素 / JAK2 / HIF-1 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
細胞内チロシンキナーゼJAK2の617番目のバリンがフェニルアラニンに置換するJAK2V617F変異は、骨髄増殖性疾患を引き起こす最も大きな要因として知られている。この変異により、造血幹細胞においてJAK2の恒常的な活性化が引き起こされる。一方、造血幹細胞の機能は骨髄微小環境内における酸素濃度により影響を受けることが知られている。今回、我々は骨髄内の酸素濃度環境によりこのJAK2V617Fの活性がどのような影響を受けるのかを解析した。さらに、その下流の分子生物学的なイベシトや細胞の増殖・生存への影響についても検討をした。JAK2V617F変異を有する細胞株であるHEL細胞を低酸素環境下におくことにより、JAK2V617Fの自己リン酸化、すなわち酵素活性が経時的に抑制されることがわかった。また、これに伴い、下流の分子であるSTAT5の活性も低下することが確認された。しかしながら、他のシグナル伝達経路であるAKTやERKなどの活性化には変化が見られなかった。さらに、低酸素環境下ではHEL細胞の増殖停止とアポトーシスが誘導された。これには、抗アポトーシスタンパクであるBcl-xLの発現低下とアポトーシス誘導タンパクであるBimの安定化が寄与していることが示唆された。これらの結果は、JAK2V617Fを発現する異常な造血幹細胞の機能が、骨髄内の酸素分圧により変化しうることを示唆する重要な知見であると考えられる。
|
Research Products
(4 results)